待機児童問題が依然ネット上で注目を集めている。「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログを皮切りに、3月9日には、同ブログをきっかけに集まった、保育制度の充実を求める署名約2万8000件が塩崎恭久厚生労働大臣に手渡された
当事者の母親たちは現状の保育制度について、どんな思いを抱いているのだろうか。マクロミルが2月下旬、全国の20歳から49歳までの現在産休・育休中の女性178人と、現在産休・育休中の妻を持つ有職男性163人を対象に意識調査を実施している。
4人に1人が出産前から保活を開始。母親にとっては大きなストレスに
復職の予定を聞いたところ、職場に「復帰することが決まっている」と答えた家庭は69%。「復帰時期はまだ決まっていない」という家庭は20%だった。
だが、2016年の4月に職場復帰を希望したものの、預け先がないため復帰が確定していないという家庭も4%あった。この家庭に4月までに預け先が決まらなかった場合の対応を聞いたところ、3分の1が「退職をしなければならない」と答えたという。まさに「保育園落ちた日本死ね!!!」の状態に陥っているということだ。
また、子どもを希望の保育園に入れるための「保活」を行った人に、活動開始時期を聞いたところ、27%の人が出産前から活動をしていたことが分かった。
保活が与えるストレスについて聞いたところ、57%の母親が「ストレスを感じた」と答えた。父親に聞いた結果は34%だったため、母親の方が気を揉んでいるようだ。出産準備や育児に追われる中、保活にまで気を回さねばいけないのは、やはり心理的負担になっているのだろう。
「保育士がいなければ保育園に子どもを預けられない」「国はどうにかして」
では、「保活」や「保育園問題」に対してどのように思っているのだろうか。母親からあがった意見(複数回答)で最も多かったのは、「もっと保育士の待遇を改善すべき」(58%)という声だった。都内在住の7か月の子どもいる女性は、
「保育士の処遇や給与を改善すべき。保育士がいなければ保育園に子供が預けられないし、仕事に復帰できなかったり、2人目をためらう」
とコメントを寄せていた。以下、「保育園が足りていない問題は国が対策すべき」(52%)、「保育園に入るために保活を行わなければならないのはおかしい」(44%)と現状の問題点や国へ改善を求める意見が続いた。
「『女性が輝く社会』と言っているくせに、ぜんぜん環境は変わらず、単なるアピールだけだなと失望しています」
「少子化が問題になっているのに、子供を産み育てる環境が全く整っていない。2人目、3人目を産みたいと思っても、保育園に入れることが出来なければ働けず、養えないとなると、産みたくても諦めてしまう。国や自治体がもっと現実的な対策を考えてほしい」
報道によると、菅義偉官房長官は9日の会見で、「保育士の確保を含め、様々な手段を講じて子育て家庭の切実な声に応えることができるよう全力を尽くしたい」とコメント。今後の対応に注目が集まりそうだ。
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