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外国人の妻と離婚...どこの国の法律が適用される?子どもの親権は?「国際離婚」のAtoZ

2016年03月05日 08:52  弁護士ドットコム

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日本では2013年、2万1488組のカップルが国際結婚をしています(厚生労働省の「人口動態調査」より)。この年、婚姻の総件数は66万0613組ですから、「30組に1組」が国際結婚をしたことに。ちなみに「妻が日本人、夫が外国人」というカップルより、「夫が日本人、妻が外国人」の組み合わせの方が、約2.5倍も多かったそうです。


しかし、様々な文化や習慣の壁をこえ、熱烈に愛し合って結婚した国際結婚カップルが、さらに情熱を注がなくてはいけないのは離婚する時なのかもしれません。


弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、外国人のパートナーとの離婚に関する相談が寄せられています。ある男性は日本で、外国人の妻と結婚生活を送ってきましたが、関係が悪化したため、離婚することに。妻も離婚に同意しています。「この場合、どちらの国の法律が適用されるのか、子どもの親権はどうなるのかなど、何も分からず困っています」と話しています。


国際離婚の手続きはどうやって進めればいいのでしょうか。また、特にトラブルになりやすいのはどんなことなのでしょうか。高木由美子弁護士に詳細な解説をしていただきました。



A. 国際離婚では、子どもをめぐる熾烈な争いが繰り広げられる


夫婦が日本で暮らし、夫婦の一方が日本国籍の場合、離婚にあたっては日本法が適用されます。


一方、夫婦が妻の出身国で暮らし、日本で離婚裁判を行う場合は、夫婦に最も密接な関係がある地(国)の法律が適用されます。例えば、妻の出身国で長く結婚生活を送っている場合などは、妻の出身国の法律が適用される可能性があります。また、外国暮らしの日本人夫婦は、夫婦の共通本国法、つまり日本法が適用されます。


国際離婚は、離婚の際にどこの国の法律が適用されるかの問題のほか、どこの国で離婚裁判を起こせるかという問題(国際裁判管轄)もあります。


例えば、日本人と米国人の夫婦が米国で婚姻生活を送っていたが、日本人の方が日本に戻ってきた場合、日本で確実に離婚裁判を行えるわけではありません。


裁判所の判例では、原則として国際裁判管轄が認められるのは、被告(相手方)の住所地(国)とされます。例えば被告配偶者が米国に住んでいて原告が日本に住んでいる場合は、原則、米国で離婚裁判を行うことになります。


ただ、被告配偶者からのDVや遺棄、行方不明などの事情がある場合のみ、原告の住所地である日本で裁判ができるとされています。


国際離婚で特に熾烈な争いとなるのが、子どもをめぐる問題です。最も問題となるのは、一方の親が、子どもを自分の出身国に連れ去ることです。「ハーグ条約」という国際的な取り決めでは、原則的に裁判所は、連れ去りをした親に対して、元々住んでいた国に戻すよう命令を下すことが決まっています。


外国では、離婚後も父母が子の共同親権を持ち、同等に子と関わります。日本は離婚後、親権者でない親が子に関わるのは、月一回程度の面会交流だけということが多く、外国人親に受け入れられず、解決が長引く傾向があります。


離婚後も両方の親が子に関わることは、子が両方の親からの愛を感じ、親の離婚によって傷ついた精神を安定させられると言われています。無理強いは良くないですが、子どもが親との交流を、少なくとも嫌がっていなければ、親権者となった親はできるかぎり、子どもと親権者でない親とが交流できるよう、理解・努力する必要があると思います。


親としては、別れた配偶者とは連絡も取りたくないかもしれませんが、まずは子どものことを考えて、「両方の親が同じくらい愛している」、「いつも会いたいと思っている」と実感させることが理想です。それがひいては、事案全体の早期解決につながると思います。




【取材協力弁護士】
高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属。米国・カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所
事務所URL:http://www.satsukilaw.com/