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フィフィ、米大統領選"トランプ現象"は「どこでも起きる」

2016年03月04日 19:10  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

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【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】日本時間1日夜から2日にかけて、アメリカ大統領選挙に向けた候補者選び最大のヤマ場といわれるスーパー・チューズデーが行われ、共和党のドナルド・ジョン・トランプが圧倒的勝利をおさめた。繰り返される過激な発言で批判を受ける一方、確実に票を獲得していくトランプ氏。なぜ彼は支持されるのか、その背景に渦巻く、アメリカが抱える問題にフィフィは注目する。 トランプ氏を支持している層とは? スーパー・チューズデーにおいてトランプ氏が圧倒的勝利をおさめたことにより、彼が大統領になる可能性が冗談では済まされない事態になってきました。ヘイトスピーチとも受け取れる過激な発言にはじまり、パフォーマンス過多とも言える彼が、それでもなぜ支持されるのでしょうか。 トランプ氏を支持している層として、まず挙げられるのは、白人層のブルーカラー。自分たちが白人であるということに自尊心を持ち、有色人種にたいして偏見や差別意識を持っている人たちです。 しかし重要なのは、その有色人種である黒人やヒスパニック系にもトランプ氏を支持する人たちが多いということです。つまり、これはアメリカの特徴でもあるのだけど、移民のなかにも階層があり、そのなかにおいて排他意識が働いているということ。基本的に新たにやってくる移民はハングリー精神に満ちているので、先にいる移民たちは、自分たちの職が奪われてしまうのではないかという危機感に苛まれるわけです。 こうした層が主となって、今回トランプ氏を支持したことにより、いくら口先できれいごとを言っていても、実際には差別意識や移民への危機感を持った人たちがアメリカには潜在的に一定数いるということを、数字として露呈する形となりました。 同時に、トランプ氏のような手法をとれば、ある程度の支持率をとれてしまうのだということを世界に示してしまった。彼のような過激な発言をする候補者は、これから日本でも増えてくるかもしれません。 ストレスの代弁者としてのトランプ氏 人間の性質として、ストレスや鬱憤、自分が言いたくても言えない本音を、代わりにズバズバと言ってくれる対象を求めてしまうところがあります。よくぞ言ってくれた、と。 日本のテレビでも毒舌キャラは受けていますよね。これも自分のストレスを代弁してくれる存在を求めているからです。 もちろんテレビなどでは、いくら毒舌キャラだと言っても、何でもかんでも言っていいというわけではありません。お金をもらっている以上、スポンサーの顔色を伺って発言する必要があります。 しかし、実業家のトランプ氏にはお金がある。政治資金を集めるために奔走したり、スポンサーの顔色を伺って発言する必要がない。言いたいことを言える環境にあるわけです。 逆に言えば、もし他の候補者たちも自由にものを言える環境にあるのならば、トランプ氏の発言に近いところが本音なのかもしれないですよ。 トランプ氏のことをただの馬鹿だという人たちもいます。だけど、本当にそうなのでしょうか。もし、アメリカの人たちの抱える不満を熟知していて、いま何を言って刺激すれば受けるのかということを計算したうえで、自分でお金を出すことで自由に発言できる環境を活用し、意図的に民衆をあおっているのであれば、相当頭の切れる人物だと思いませんか? いずれにせよ、もはやこれはトランプ氏その人ひとりの人間性といった問題ではありません。自分たちの本音を代弁してくれるトランプ氏の存在を求めざるを得ない人たちが多いという、それだけアメリカが爆発寸前の大きなストレスを抱えているという現実が問題なのです。 《構成・文/岸沙織》