3月1日、午前9時1分。気温7℃の中、マクラーレン・ホンダのガレージが開き、カーナンバー14のマシンがコースインしていった。
2月末の1回目のテストはマイナーなものだったとはいえ、相次ぐトラブルを発生し、マクラーレン・ホンダの走行距離は1196km。トップのメルセデスAMGの3142kmに大きく引き離され、新規参入チームのハースの1308kmにも届かない11チーム中、10位という結果だった。開幕戦までに残された時間は、あと4日。この2回目のテストしかない。もう絶対にトラブルは許されない。そんな危機感がガレージの中から、ヒシヒシと伝わってきた。
「先週の水漏れの原因は、まだハッキリとはわかっていませんが、どうやら(冷却管の中の)エア抜きが足りず、空気が入ったままになってしまい、それがシール(つなぎ目)にダメージを与えていた可能性が高いと考えています。したがって、スペック的には同じものを持ってきていますが、今回は念入りにエア抜きをしました」と長谷川総責任者は語った。
ホンダのパワーユニットは、インスタレーションラップを終えた後も順調に周回を重ねていく。
1回目のテストでは、初日に吸気系に予想していた不具合が生じて、性能を若干抑えて走行しなければならないこともあった。しかし、この日は予定していたパーツを投入して“フルパワー”でラップタイムを刻んでいた。
12時49分にはアロンソがソフトタイヤを装着していたとはいえ、3番手のタイムをマーク。しかし、直後にストレートエンドでストップ。
「コントロール系のソフトウェアになんらかのトラブルが出たために、ピットから無線でマシンを止めろという指示を出した」と長谷川総責任者が理由を述べている。午前セッションの終了間際だったこともあり、ランチタイムを修復時間に充てることができたものの、午後セッションで再びアロンソがコースインしたのは15時12分。約1時間、走行時間をロスしてしまった。そのとき、メルセデスAMGはハミルトンが今シーズンのテストで初のフルレースシミュレーションを開始していた。
その後、マクラーレン・ホンダに問題は起きず、2回目のテスト初日は、概ね順調な一日だったといっていい。午後セッションの終了間際にはアロンソが再び自己ベストを更新。3番手のタイムで終えている。
「もちろん、勇気付けられる順位ではありますが、真の実力はまだわかりません。でも、正直、もう少し走りたかった。今日のラップ数(92周)だと4日間でトータル2000kmに届くかどうかという感じですから、開幕までにもっともっと走り込みたい」そう語る長谷川総責任者の脇を、2日目にステアリングを握るバトンが通り過ぎていった。