トロロッソが今年2回目のF1合同テストの初日、STR11の正式カラーリングを初披露した。それに伴い、テクニカルディレクターのジェイムズ・キーが開発の苦労と今シーズンへの期待を語った。
昨年までルノーのパワーユニットを使用していたトロロッソは今年フェラーリと契約、2015年最終仕様のパワーユニットを搭載することになった。しかしその決定が遅れたため、短期間でマシンを仕上げなければならず非常に苦労したとキーは言う。
「この3カ月はとてつもなく忙しかった。STR11の方向性は昨年8月には定まっていたが、エンジンが変更になったためにプロジェクトの大部分を保留せざるを得なかったのだ」とキー。
「開発をストップしたわけではないが、デザインにおける柔軟性が制約された」
10月終盤にフェラーリとの合意がまとまった後、チームは膨大な作業に取り組んできたという。
「その時決まっていたパッケージングスペースに新しいパワーユニットをフィットさせつつ、マシンの他の部分で起こるパフォーマンス低下を最小限に抑えるというプランを打ち立て、これによってより一層苦労した」
パワーユニットを新しくするためにさまざまなシステムを見直し、デザインし直さなければならなかったものの、第1回テストまでにマシンを完成することができたのは、チームの優秀なスタッフたちの努力のおかげであると、キーは述べている。
2015年のフェラーリ・パワーユニットは信頼性においても性能においても非常に優れていた。それを搭載することでトロロッソは昨年より向上することが期待できるものの、一方で1年落ちのユニットを使用することにはデメリットもある。
「2015年のフェラーリ・パワーユニットは安定した力を持っており、2014年型より大きく前進している。従って我々にとっても大きなパフォーマンス向上が期待できる。他のチームとの差を縮めることができるだろう。すでに1シーズンを戦った仕様なので、信頼性も高い」
「(一方で)シャシー開発を最善の形で進めていくことが重要になる。1年落ちのパワーユニットを使うのは我々チームだけだ。このパワーユニットは今の状態から開発されることはない。しかし他のチームはすべて、進歩するパワーユニットの恩恵を受けることができるのだ。だから我々はシャシー開発でできる限り補っていく必要がある」
シャシー自体に関しては、昨年課題だった低速コーナーでのパフォーマンス向上を目指したという。今季マシンはファエンツァの最新設備を使って開発、これが大いに役立ったということだ。
「今年のシャシーに関しては、低速コーナリング能力を改善することに集中しようと思った。去年のマシンには大きな改善が見られ、中・高速コーナーでのパフォーマンスが特によくなった。しかし低速パフォーマンスは理想的なレベルではないと感じていた。この部分を2016年のマシン開発において変えていくことにした」
「その他にも、2015年にうまく開発を成し遂げたエリアをさらに発展させたり、もっといいアイデアが出てきた部分、あるいは解決すべき弱点に関して、完全に新しい方向性を採った」
チームプリンシパルのフランツ・トストは今年の目標は「表彰台獲得」と「コンストラクターズ選手権5位」であると述べている。昨年のトロロッソのベストリザルトはマックス・フェルスタッペンの4位、コンストラクターズ選手権では7位だった。
「すべてを考えあわせ、2016年も去年と同じ目標(コンストラクターズ5位獲得)を目指す」とキーも述べている。
「2015年のシャシーとドライバーたちにはそれを達成する能力があったにもかかわらず、多数のトラブルにそれを阻まれた。だから、簡単ではないだろうが、改めて2016年にその目標の達成に挑む」