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モラハラ元夫が「子どもに私の悪口を吹き込んでいます」…面会交流を拒否できる条件

2016年03月01日 11:42  弁護士ドットコム

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子どものいる夫婦が離婚する際には、親権をもたない離れて暮らす側の親が子どもに会う「面会交流」の実施が決められています。しかし、この面会交流をめぐっては、様々なトラブルがうまれがちです。


「元夫が面会交流で、高い玩具を買い与えたり、新しいマンションの見学にも連れて行き『一緒に住みたいね』などと言っているようです」と、ネットの掲示板に、ある女性が元夫との面会交流について投稿していました。


いつも節約した生活をしているため、6歳の子どもはたまの贅沢に大興奮。パパと暮らせば、毎日そんな楽しい生活ができる! と思ってしまっているようです。さらに「元夫は、『ママは掃除や料理をちゃんとやっているの? 一緒に住んでいたときは、パパにいつも怒られていたんだよ』などと私の悪口を吹き込んでいるようです」。


元夫に抗議をしたいという気持ちもあります。しかし、離婚理由は執拗な暴言とモラハラでした。また同じことをされるのではないか。住所も知られているので、報復されるのも怖いと考えています。そこで女性は「もう面会交流をさせたくない。拒否することはできるんでしょうか」と吐露しています。


面会交流は拒否ができるのか? 山口 政貴弁護士に詳細な解説をしていただきました。


A.  「子の福祉」の観点から望ましくない場合は、拒否できます。


面会交流とは、離婚や別居等で夫婦の一方が子供を養育している場合に、他の親が子供に会うことです。夫婦関係は離婚によって終了しますが、父と子、母と子の関係は離婚後も続きます。そのため、実際に子供を養育していない親でも子供に会うことができます。離婚に至っておらず、別居の段階でも面会交流は可能です。


ところが、面会交流がスムーズに行われないケースが少なくないようです。子供が小さいうちは面会の日時や場所、方法などについて、別れた(もしくは別居中の)相手と話し合わなければなりません。仲が悪くて離婚や別居をしているので、できれば相手と接触したくないというのが正直な気持ちでしょう。子供を連れ去られるのではないか、という不安から、面会を拒否する人もいるようです。


原則的には、子供を相手に会わせないことはできません。離婚や別居時に面会の条件などを決めていなくても、それを理由に面会を拒否することはできません。相手側が面会を求めてきた場合は、話し合いに応じる必要があります。


ただ、暴力をふるう、養育費を支払わない、子供が面会を拒否するなど、子の福祉の観点から望ましくない場合は、拒否できます。


また、ご相談者のように、面会の際、子どもに養育している親の悪口を吹き込んだり、養育している親の様子をしつこく聞くなどの行為があった場合も同様です。養育している親の悪口を言ったりすることは、面会交流の目的から外れます。このような場合は面会交流を拒絶することができます。


本来「子の福祉」のために行われる面会交流ですが、養育している親が不当に面会を拒否したり、子供が嫌がっているのに無理やり面会を求めるなど、子の福祉を考えずに、親の考えだけが先走るケースが少なくありません。


当事者で話し合っても、うまくいかなければ、できれば弁護士などの専門家に間に入ってもらい、客観的に最善の手段をアドバイスしてもらう必要があるでしょう。


あくまでも「子供の成長にプラスになるか?」かが最優先されるものです。多少納得できないところがあったとしても、子供のために譲歩するべき点は譲歩する。このような姿勢が大切だと思います。




【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/