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会社近くにコッソリ転居して「定期代」の差額1万円を懐に・・・こんな企みはダメ?

2016年03月01日 11:42  弁護士ドットコム

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「会社の近くに引っ越したけど、通勤定期代はこれまで通りにもらいたい」。そういった悪知恵が働いて、住所が変わったことを会社に知らせずに過ごしている人はいないだろうか。


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東京都港区の浜松町で働くある男性は、かつて神奈川県川崎市の登戸駅から通勤し、会社から定期代として1万8150円をもらっていた。その後、会社の近くに引っ越したため、定期代は5170円になったが、男性は引っ越したことを会社に告げず、差額約1万3000円を懐に入れていたという。



この会社の就業規則では「実費支給」が規定されていたというが、引っ越したことを会社に告げず、以前の定期代をもらい続けることは、法的に問題ないのだろうか。丸島一浩弁護士に聞いた。



●民事上の責任、刑事責任、そして社内での処分


「通勤手当について、就業規則では『通勤手当は、月額●円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する』と規定されている例が多いのではないかと思います。今回のケースでも、通勤手当が実費相当額を支給する性質のものであるということを前提に検討します」



どんな問題が考えられるのか。



「第1に、民事上の責任です。通勤手当が実費相当額を支給する性質のものだとすれば、不当利得として、会社から差額分の返還を請求される可能性がありますし、労働者はこれに応じる法的義務があります。 



第2に、刑事責任として、詐欺罪にあたる可能性があります。労働者には、実費相当額の支給を受ける以上、その前提として、転居の事実を会社に伝える義務があると考えられます。ですから、転居の事実を黙っていたことは、会社を欺く行為といえるでしょう。



第3に、会社から懲戒処分や人事考課上の不利益を受ける可能性があります。多くの会社では、懲戒処分として、けん責や減給、出勤停止、懲戒解雇などが就業規則に明記されているのではないかと思います。



最終的な処分は、差額分の金額や受領期間、返還の有無、反省の程度などを考慮して判断されることになるでしょう。また、懲戒の問題とは別に、昇進や昇給など、人事考課上、不利に扱われる可能性もあります。



今回の事例程度であれば、いきなり逮捕や懲戒解雇をされることは考えにくいとは思います。しかし、軽い気持ちであっても、様々なリスクがあります。きちんと会社に申し出て、実費で受け取るようにしましょう」



丸島弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
丸島 一浩(まるしま・かずひろ)弁護士
2008年弁護士登録。千葉県弁護士会所属。全国倒産処理弁護士ネットワーク会員。
企業・法人の破産、民事再生、事業再生、私的整理を中心的に取り扱っているほか、中小企業からの相談も取り扱っています。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/