28日に行われた“スバル 2016 モータスポーツファンミーティング”内で実施されたトークショーに今季スーパーGT300クラスに参戦する井口卓人と山内英輝、辰己英治チーム総監督が登場。現在、開発が進められている2016年型スバルBRZ GT300の最新情報を公開した。
昨年、スバルはタイヤをミシュランからダンロップへスイッチするとともに、井口/山内の若手コンビでシーズンへ挑んだが苦戦。鈴鹿1000kmの3位表彰台が最上位となり、ドライバーズランキング12位、チームランキング10位でシーズンを終えている。
トークショーに登壇した辰己総監督は、昨シーズンについて「本当に皆様に申し訳ないシーズンだったなと感じています」と振り返った。
「ドライバーは本当に頑張ってくれました。また、悲しいことに苦戦を強いられたシーズンでしたが、最終戦までスバルのファンの方が応援してくれて、申し訳ないと思うなか、その思いに応えなければいけないと感じていました」
今シーズンの参戦体制については、1月の東京オートサロン2016で発表済みで、R&D SPORTとタッグを組み、引き続きBRZを投入。ドライバーラインアップやタイヤもダンロップを継続利用するが、フロントタイヤのサイズが変更され、昨年までの300/680R18から330/710R18とすることが明らかにされている。
マシンは「鋭意製作中」ということでイベント会場には展示されなかったが、「(3月)4日には完成し、走れる状況になる」と辰己総監督。その後、風洞テストや試験走行を経て、8日にシェイクダウンを行う予定であるとした。また、辰己総監督は16年型マシンの開発ポイントに「空力」を挙げている。
「フロント周りを改良し、走行抵抗(ドラッグ)を減らしつつダウンフォースを増やす方向です。スバルBRZの1番得意なコーナリングを伸ばそうとしています」
「去年は苦手なところを克服しようとしたことが、ああいう結果を招いてしまったと思います。今年はスバルの得意なところは何かを考え、得意なコーナリングを徹底的に磨こうとしています」
また、今季からマットなカラーリングが施されるリヤホイールも400g軽量化するとともに剛性も高めたといい、これらのアップデートの結果、従来よりコーナリングスピードの20%向上を見込んでいるという。そのほか、よりドライバーが集中できるよう、ステアリングホイールに取り付けられているディスプレイの視認性も向上させるといい、これには井口も「クリアになると同時にカラーになると聞いています。楽しみですよ」と笑顔がこぼれていた。
マシンのコーナリング性能向上に合わせ、ドライバーも「20%向上するというコーナリングスピードに余裕でついていけるようにしたい(井口)」と、終了後には酸欠で動けなくなるほどのトレーニングに励み、準備を整えていることが明かされた。
課題のストレートスピード改善よりも、持ち味であるコーナリング性能向上に軸足を置いたスバル/STI。今年は大排気量エンジンを積むFIA-GT3勢を、コーナーで鮮やかに抜き去るBRZの走りを見ることができそうだ。