いま新しい認証技術として「カメレオンコード」が注目を集めている。色の組み合わせで情報を表示するカラーコードで、バーコードやQRコードに比べ、離れていても動いていても読み取れるのが大きな特徴だ。
カラフルな四角形がマス目状に配置されており、一見するとバーコードというよりデザイン的な飾りのよう。2月26日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では、この技術の様々な活用方法と可能性を紹介していた。
図書館の本を書棚から出さずに確認できる
「カメレオンコード」は、日本で初めてカラーコードを開発したシフト(東京・新宿)の技術だ。東京・町田市の中央図書館では、約120万冊の蔵書の管理に活用している。
すべての本の背表紙に小さなカラーコードが貼ってあり、棚に並んだ本の背表紙をスマホカメラで写すだけで確認作業ができる。これまで1冊ずつ取り出してバーコードを読み取っていたが、作業の大幅な効率化と監視カメラによる貸し出しの自動化が実現した。
異物混入など食の安心・安全が社会問題になる中、この技術が食品製造の現場でも導入が進んでいる。業務用パンの製造工場、オリエンタルベーカリー(大阪・泉佐野市)では、作業着の帽子のてっぺんにカラーコードを付けて人の出入りを管理する予定だ。
工場の入口に設置された監視カメラが、歩いて入室する人を上から撮影し情報を読み取っていく。エリアごとに許可された人以外の入室があれば、自動的にアラーム警告されリアルタイムで記録される。白ずくめの作業着の従業員が頭上から管理される様子はSFめいた光景だ。製造責任者は、導入を決めた理由をこう語る
「ICチップやICタグがもし食材に紛れ込むと異物になる。『フードディフェンス』が重要だと感じています」
「建設中の現場に爆発物」を防ぐためにも使われる
シフトはNECと大林組と共同で、高度なセキュリティーシステムを独自に研究している。1台のカメラでカラーコードと顔を同時に認証し、入退出の管理を行おうというのだ。
身に付けたカラーコードと顔認証との組み合わせが一致すれば入室が許可され、ドアが自動的に開くしくみだ。大林組の杉本弘道課長は、メリットをこう語る。
「ICカードや生体認証で指をかざすなど、セキュリティを高めれば利便性はどうしても相反するところがある。これは認証される側もストレスなく認証される」
大林組は、建設現場での需要に期待して開発に力を入れている。東京オリンピックに向けて、工事現場のセキュリティのため使われ始めている。シフトの辻博文社長は「建設中の現場に爆発物が入れられる可能性もありますから」とした上で、「建設・土木現場、特に食品・薬品工場は非常に大事になってくると思います」と語った。
このカラーコード自体は10年前に開発されていたが、なかなか普及が進まなかった。しかしスマホなどのカメラ性能の向上に伴い、ここ1年で急速に利用が広がりを見せている。
ネットでも大きな話題に「無限の可能性だ」
番組が放送されると、この技術はネットでも話題になり、「無限の可能性だ~便利」「監視カメラでも読めるとか結構スゴいもんね」など驚きの声とともに、読み取りの速さに感心する人や、身近な生活への応用を考える人までいた。
「電車の自動改札とかテーマパークのゲートとかでもQRコードに取って代わって利用されるかもしれませんね。どっかの国みたいにETCに採用されてもいいのかも」
バーコードやQRコードも、あっという間に普及した。これほど便利ならば、今後私たちの生活で目にすることが多くなっていくのだろう。(ライター:okei)
あわせてよみたい:半生を16ページにまとめた「親の雑誌」が好評