2016年02月28日 14:01 リアルサウンド
近年のアイドルシーンでは、ある程度の規模まで成長したグループが、新たに“妹分”のグループを結成するケースが増えている。
その一例として、でんぱ組.incの妹分・妄想キャリブレーション、PASSPO☆の妹分・ぷちぱすぽ☆、SUPER☆GiRLSの妹分・Cheeky Parade、東京パフォーマンスドールの妹分・TPD DASH!!などが挙げられる。ここまで多くのグループが“妹分”を結成する理由とはなんだろうか。『グループアイドル進化論 「アイドル戦国時代」がやってきた!』の共著者であり、アイドル専門ライターの岡島紳士氏は、妹分グループが増えた理由のひとつは「ファン以外に名前を知ってもらうため」であると言う。
「“妹分”として人気グループの名前を冠にすると、既存グループのファンは、メインとなるグループを推しつつ、妹グループを応援しやすい状況が生まれます。すでにブレイクしているグループであれば、宣伝効果は抜群です。妹分と銘打たれていたほうが、よりグループのことを知るきっかけとして機能する部分も大きいでしょう」
また、妹分を作りやすいグループにも特徴はあると続ける。
「大人数グループより、少人数のグループのほうが、妹分を打ち出しやすい、という傾向はあるかもしれません。でんぱ組.incの妹分・妄想キャリブレーション、PASSPO☆の妹分・ぷちぱすぽ☆、SUPER☆GiRLSの妹分・Cheeky Parade、東京パフォーマンスドールの妹分・TPD DASH!!などはその例といえるでしょう。最近では、ゆるめるモ!も妹分のレッツポコポコを立ち上げました。メンバー人数が10人以内であれば、一人一人のキャラを立たせていくことが可能で、妹分という冠をうまく活用しながら、グループの色をつけていくことができます。一方、AKB48をはじめとした大人数のグループの場合、お姉さんグループへの昇格を前提とした『研究生』という立ち位置になることが多いのは、そういった理由があるのかもしれません。また、お姉さんグループのメンバーと妹分グループのメンバーの年齢が変わらない場合、上下関係ができるとややこしいということもあり、妹分という表現を意識的に使わないことも多いのではないでしょうか」
最後に岡島氏は、妹分グループの今後について、次のように推察する
「ファン以外に浸透しやすい、ビジネス的にも利益を生みやすいという理由から、今後も妹分グループは増えていってもおかしくないと思います。ただ、妹分の冠は、スタートダッシュとしての使い勝手はいいものの、成長してきたあとに課題が発生するパターンが多く、そこでジレンマが生まれてしまいます。そのときこそ、グループの真価も問われますし、打ち勝つことができたグループが生き残っていくのでしょうね」
多様化するアイドルシーンにおいて、新たに広がっている“妹分”旋風。この勢いはどこまで広がっていくのだろうか。(向原康太)