26日、ニッサン/ニスモがグローバルモータースポーツプログラムを発表したことにより、2016年のスーパーGT500クラスのチーム、ドライバー組み合わせがすべて決定した。今季も3メーカーから15台が参戦することになる。
2016年シーズンに向けたGT500クラスは、空力、サスペンションの開発が凍結されており、ニッサンGT-RニスモGT500、レクサスRC F、ホンダNSXコンセプト-GTとも外観から見た目の変更はない。各陣営ともエンジンのパワーや効率アップなど、内面で「できること」を突き詰めていくことになる。今年はウエイトハンデ50kgを超えた際の燃料流量リストリクターによる調整が変更される可能性もあり、エンジン開発は重要なポイントになるはずだ。
3車種の中で、内面で大きな変化があるのはホンダ。バッテリーサプライヤーの都合でハイブリッドシステムの搭載が厳しくなってしまったため、今季NSXコンセプト-GTはハイブリッド非搭載でシリーズに挑む。重量は軽減されるが、ハイブリッドで得ていたパワーは失うため戦闘力は変わらないのではないかという説もある。ホンダGTプロジェクトリーダーの松本雅彦氏へのインタビューは、発売中のオートスポーツNo.1426に掲載されているのでぜひご参照いただきたい。
そんな中で発表された今季のラインアップだが、各陣営とも大幅な変更があるわけではない。ドライバーふたりともが入れ替わったチームは今季ゼロだ。2016年に向けて各陣営ともチームやそれぞれの相性、走りのスタイル等を検討しながら組み合わせを行ってきた印象がある。
特にホンダは、小暮卓史と武藤英紀の入れ替えという組み合わせ変更に留まったが、この理由について松本プロジェクトリーダーは、上記のインタビューで「ドライビングスタイル」を挙げている。
GT500ルーキードライバーは今季ふたり。トムスから伊藤大輔と組んで参戦するのは、昨年の全日本F3チャンピオンのニック・キャシディ。モーラから本山哲と組んで参戦するのは、昨年GT3のGT-Rを駆り、世界中で大活躍をみせた千代勝正だ。2015年までGT500で活躍していた脇阪寿一、ミハエル・クルムが抜けているが、レクサス、ニッサンともにひとりずつ陣営に“補充”した形となっている。伊藤、本山というふたりと組むのは、彼らから経験を得るのが理由のひとつだろう。
ふたりともすでにテストでGT500をドライブしているが、単独でのスピードは問題なさそう。ただ、GT500ではフォーミュラともGT300とも異なるレースでのテクニックが求められる。特に今年は、GT300のラップタイムがさらに上がる可能性もあり、難しさは上がるだろう。近年は500初年度と言えど、結果が求められ「ルーキーだから」という言い訳はできない状況もある。
DTMドイツツーリングカー選手権との共通規定である“クラス1”規定導入3年目を迎え、各陣営ともマシンの信頼性はほぼ大きな問題はないはず。唯一ホンダだけは重量、バランスが変化する分早急なセットアップが求められるが、オフのテストである程度カバーできるはず。
今シーズンもレースの勝敗を分ける最も重要なポイントとなるのは、世界最高とも言われるタイヤコンペティションだろう。タイヤを最もうまく活かしきり、ポイントを積み重ね続けたチーム、ドライバーがチャンピオンを獲得するはず。各陣営、そのための2016年GT500ラインアップを組んできたはずだ。