総務省は2月26日、2015年の国勢調査の結果を発表した。日本の総人口は1億2711万人で、1920年の調査開始以来初の減少。ただし東京圏の人口は増加を続けており、一極集中がますます進んでいるようだ。
調査結果を見ていくと、東京の人口は1351万人で全国の10.6%を占めている。次に多いのが神奈川の913万人、その後が大阪(884万人)、愛知(748万人)、埼玉(726万人)、千葉(622万人)となっている。
東京、神奈川、千葉、埼玉の東京圏の人口は、5年前と比較して51万人も増加。3613万人となり、総人口の4分の1以上を占めている。
「東京で二回目の五輪を開こうという時点で、もはや先は見えた」
日本の人口がいずれ減少に転じ、東京圏の人口集中が進むことは、以前から予測されていたことではあったが、これが報じられるとネット上で多数の反応が寄せられた。
「都心集中はホントにまずい問題と思う。今も、これから先はもっと。全国土の5%だか10%にこれだけ人が集まって、国として成り立っていくんかいな」
「そら毎朝、駅のホームに人が落ちんばかりに溢れるわけや。日々の疲労は仕事より満員電車の中で蓄積されてる気がする」
1平方キロメートルあたりの人口密度を見ると、東京は6168人で全国平均の18.1倍。2位の大阪(4640人)にも大差を付けており、今さらながら人が多い。もうこれ以上増えるのは勘弁願いたいレベルだ。
一方で、地方は地方で大変なことになっている。2010年からの増減を見ると、東京や沖縄、福岡、愛知などを除いた39道府県で人口が減少。人口が最も少ない鳥取は、1万5000人減って57万4000人となった。この数字は、東京の足立区(67万1000人)より少ない。
安倍政権は昨年から「地方創生」を掲げて色々と施策を練っているが、この有様では地域活性化は無理という見方も出る。「地方創生など絵に描いた餅」「東京で二回目のオリンピックを開こうという時点で、もはや先は見えた」というのだ。
人口問題研究所の推計は「2060年に8674万人」
東京へ人、特に若者が流れていく一番の理由は、やはり「地方には仕事がない」というところだろう。そのため、「地方は仕事がない→人が東京に行く→人がいないから企業も進出せず仕事が生まれない」という悪循環が起きている、という見方もある。
地方の求人の、悲惨な状況を書き込む人もいた。週休1日で手取り14万8000円という「雇う気があるのかと思えるような金額」の正社員求人をハローワークで見て、「こんなもの人が来るのかと思ったけど、結構な人が応募していた」と書いている。それだけ他にましな仕事がない、ということのようだ。
だが逆にいえば、仕事さえあれば地方に住みたいという人も少なくない。地方から政令指定都市に出てきたという人は、本音では「親の面倒見ながら地元で仕事がしたい」と書く。しかし、地方と政令指定都市では賃金格差があるので「飯食っていけないのが目に見えてる。今こそ一極集中から分散を」と訴えている。
また、企業を誘致するためには、いっそのこと「経団連が本部を地方に移すべきだ」という意見も。「東京の俺様のところに来いじゃ、企業の地方分散なんて進むわけない」というのだ。
その一方で人口減の傾向は止められず、現実を受け止めるべきとする見方もある。一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏は、日本の人口が8500万人(編注:2060年に8674万人)にまで減るとする国立社会保障・人口問題研究所の推計もあるとして、「『これを前提とした社会設計』が基本ですよ、という話」と投稿している。