====== イヤホンで音楽を聴きながら、深夜の街を徘徊するのが好きです。寝静まった住宅街をふらふらと歩きながら踊ったり、ステップを踏みながら道を行く猫やゴキブリを追いかけたりして、音楽に塗れるのが好きです。2013年夏、少し長い休みをもらっていた時、坊主頭の自分は気分も落ち込み、先行きが不安で、音楽を聴くのも少し怖いような状態でした。ある夜、あまり眠れず、することもないので、また街を徘徊したいと思い立ち、念のために携帯音楽プレイヤーを持って出かけました。しばらく無音で歩いていましたが、やはりつまらないのでイヤホンを耳に差し込み、すべての曲の中からランダムで流れるように設定し、再生ボタンを押しました。最大音量に設定されていたプレイヤーから、力強いスネアの音が鳴りました。ストレージの奥の方から、たまたま引っ張り出されたその曲はPrinceの「I Wanna Be Your Lover」でした。音楽が始まった瞬間から、夜の街が一気に朝を迎えたように、ギラギラと輝き始めました。霧が消え、それまで曇っていた心の中がどんどん晴れていく感覚。気がつけば、ステップを踏み、踊り、猫を追いかけ、ゴキブリを道路脇の排水溝に追い詰めていました。それまで、どんな音楽を聴いても憂鬱でしたが、いつの間にか、こんなアルバムを作りたいという希望が湧いてきました。 ======