サラリーマンが趣味や経験を生かし、副業で稼ぐ動きが盛んになっている。背景には、インターネットを介したマッチングビジネスの存在があり、2月22日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)が2社を紹介していた。
IT企業でエンジニアとして働くAさん(43歳)は、副業のカメラマンで月平均10万円稼ぐ。月1回ほど、休日にプロのモデルを自費で雇って撮影。この日はオフィスで働く女性のカット写真を撮っていた。
副業カメラマンの「作品」を大手企業が格安で活用
高校時代から写真が趣味で、腕前には自信があるというAさんは、副業カメラマンをする理由を楽しそうに明かす。
「チャレンジしてお金を稼ぎたい。(そのお金で)色んなところに行ってもっと色々撮りたい。そしたら、それも売りたい。全部楽しいと思います」
Aさんが利用しているのは、写真販売サイトの「PIXTA(ピクスタ)」。プロに頼むと高額な費用が掛かる写真も、画素数に応じて540円から5400円までと格安で使えるため、JALグループなどの大手企業も活用している。
ピクスタの古俣大介社長は、「ネットの普及でメディアや企業の販促活動が活発になり、リーズナブルに大量の品揃えがある素材は非常に使いやすい」と語る。副業カメラマンを中心に約18万人が登録し、1600万点以上の写真が売られている。
撮影技術などのレベルアップを図るセミナーもたびたび開催し、30~40代とみられる人たちで満席になっていた。古俣社長は、今後も副業カメラマンは増えるとみている。
「評価が得られる、または収入が得られる場ができているので、時代の流れは止められないんじゃないかと感じます」
空いた時間を使った「スポットコンサルティング」も
また、経営コンサルティングの副業を可能にしたサービスも登場している。副業コンサルサイト「ビザスク」の登録アドバイザーは1万2000人、相談料は1時間1万3000円ほどで、企業からの相談に個人が応じる。
利用規約では、登録アドバイザーの本業の守秘義務に関わるコンサルティングは禁止しているものの、現場の生の声が聞けると評判になり急成長。トヨタ自動車など大手企業も利用者に名を連ねる。
3年前にこのサービスを起こした端羽英子社長は、「優秀な人が、空いている時間を使って他の会社の役に立つ。日本では絶対にそれをしていかなきゃいけない」と持論を語る。同社では短時間のアドバイスを「スポットコンサルティング」と呼ぶ。
外資系IT企業で営業マンとして働くBさんは、転職前の仕事だったMR(医療情報担当者)として登録している。その理由をこう明かす。
「過去に得た自分の知見を、現在の仕事に生かし切れていないのはもったいない。過去の知見をもう少し別の形で頑張っている人に提供できればいい」
働ける人が減り「1人がたくさん稼ぐ」時代に
Bさんのアドバイスを受けた情報通信企業は「プロのコンサルだと、いきなり100万200万円で月契約だが、同じ目線でアドバイスしてもらえるので、新規事業をつくるときは大事だと思う」と高く評価していた。
ビザスクには今、「日本進出への相談をしたい」という海外企業からのコンサル依頼も相次いでいる。端羽社長は今後の展望について、こう断言する。
「これから働ける人が減ってきて、1人がたくさん稼がなきゃならないと考えると、副業は誰にとっても得なんじゃないかなと思います」
これまでプロが独占してきた仕事をセミプロが奪う形になっているので、脅威にさらされる人も出てくるのだろう。しかし、これも時代の流れ。今回登場した2人は、お金も大事だけれど、本業では得られない充実感・自己実現に重きを置いているように見えた。(ライター:okei)
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