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早見あかり、真野恵里菜、葵わかな……アイドルから女優への転身が成功する「条件」

2016年02月25日 07:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『ちかえもん』公式サイト

 アイドル戦国時代と呼ばれる現在において、アイドルから女優への転身は、大きな選択となる。もちろん、アイドルとして活動しながらも女優業を行うことも多々あるが、それでは「女優」として見てもらえることは稀である。まして、アイドルとして鳴かず飛ばずのまま女優に転身して成功する例も最近ではほとんど見られず、アイドルとしてある程度の地位を築くだけの素質の持ち主だけが、「女優」としても活躍することができるのではないだろうか。


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 例えばこのアイドル戦国時代のきっかけとなったAKB48で長年に渡りセンターを張り続けた前田敦子は、AKB卒業後も当然のごとく女優として目覚しい活躍を見せている。現在も歌手として活動を続け、時にはAKBのOGとして重要な場面に姿を見せるほど、その才能を余すことなく発揮している。また、元Folder(のちにFolder5となる)のメンバーだった満島ひかりも、グループ解散後に女優として活動を開始し、今では毎年のようにドラマや映画の表彰を受ける実力派女優として成長した。


 この二人に続くような素質の持ち主が他にいるだろうかと、考えを巡らせると、現在NHKで放送されている『ちかえもん』に出演中の早見あかりが真っ先に思い浮かぶ。彼女がももいろクローバー(現ももいろクローバーZ)のメンバーであったことを覚えている人は少なくないだろう。2011年に公開された映画『市民ポリス69』では、現在活動する5人のメンバーを脇役に、早見がメインキャラクターを演じるほど人気メンバーであったが、その直後に脱退。同年公開された真利子哲也監督の『NINIFUNI』では、早見を含めた6人で出演しているが、封切り時にはすでに脱退した後であった。


 それから5年足らずの間に、ももいろクローバーZの大躍進は言わずもがなであるが、早見も女優として成長を遂げた。『百瀬、こっちを向いて』、『忘れないと誓った僕がいた』と2本続けて映画主演を果たし、昨年まで放送されていたNHKの朝の連続テレビ小説『マッサン』では玉山鉄二演じる主人公の妹役を務めていた。さらに4月からは初主演舞台の公演もスタートし、女優として各方面に活動の幅を広げているのである。


 もう一人、ハロー!プロジェクトの売り出し中のグループJuice=Juiceが主演を務めるドラマ『武道館』の第1話で、女優になるため劇中のグループを突然脱退した元メンバーとして登場したのが、同じハロプロ出身の真野恵里菜である。彼女自身はずっとソロ活動を続けてきたとはいえ、女優業への転身のためにハロプロを卒業した経歴は、奇しくも役に似通っているようにも見える。


 2006年にハロプロエッグのメンバーになってから、2008年にソロデビュー。それから5年間の間でリリースしたメジャー曲のほとんどがオリコンチャートでベストテン入りを果たし、デビューから1年足らずでモーニング娘。に加入した藤本美貴を除けば、ハロー!プロジェクトでは松浦亜弥以来の成功したソロアイドルということになろう。


 昨年は『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』での主演をはじめ、大ヒットとなった『orange』や園子温監督の4作品に相次いで出演。彼女もまた、今最も乗りに乗っているアイドル出身女優ではないか。3月からはWOWOWで放送されるドラマ『カッコウの卵は誰のもの』に出演が決まっており、今年さらなる躍進期待できそうである。


 他にも、乙女新党のメンバーだった葵わかなは日本テレビ系のドラマ『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~』にレギュラー出演をし、来月にはBS朝日で放送される『女優堕ち』で主演を果たす。さらに、今後多くの女優を輩出することになるであろうAKBグループからは昨年夏に卒業した川栄李奈が着々とキャリアを積んできている。春からは朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演し、秋には映画『デスノート2016』へ出演することも先日発表された。


 彼女たちのように、今後女優へと転身を遂げるアイドルたちが増加していくことは必至であろう。そうなれば、日本の映画・ドラマ界は一層華々しく活気付くことは間違いない。そして、現在成功しているアイドル出身女優のように、アイドルとしての成功が最初の関門となれば、アイドル界もまたさらに熾烈な戦国時代へと突入することであろう。(久保田和馬)