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『おそ松さん』ブームはさらに加速する? 雑誌やグッズが軒並み好調のワケ

2016年02月24日 19:21  リアルサウンド

リアルサウンド

「放送開始当初(2015年10月)は、アニメファンや声優ファンを中心に支持されていると見られていましたが、最近では普段、アニメを観ない層にまで人気が広がっています。お笑いやSNSネタに通じたサブカル層にも広がりを見せている印象です」


参考:池松壮亮がラブシーンに起用されまくる理由


 そう語るのは、現在放送中のアニメ『おそ松さん』に詳しいライターの西森路代氏。24日に発売された『TV Bros.』では、前週に引き続き特集が組まれ、氏も同作についての評論を寄稿している。『おそ松さん』が表紙を飾った『月刊アニメージュ』(徳間書店)2月号が、約36年ぶりに重版される大ヒットとなったことから、マンガ誌『マーガレット』6号(集英社)や、デザインとグラフィックの総合情報誌『月刊MdN』4月号(MdNコーポレーション)でも特集が組まれるなど、各誌が競うように取り上げている。


「『おそ松さん』では旬なパロディネタや、いわゆる“あるあるネタ”など、幅広い題材を取り扱っていますが、単に流行っているネタを取り込んだというわけではなく、一歩先をいく鋭い切り口でそれを調理しています。たとえば19話『チョロ松ライジング』では、チョロ松の自意識過剰ぶりを中心に、兄弟それぞれの自意識の有り方が細かに描かれていました。SNSが一般化した昨今、身に沁みるような思いで観た視聴者は多かったはずです。また、登場人物のイヤミがお笑い養成所を開く20話『イヤミの学校』では、リアルで実質のあるお笑い論が展開され、視聴者を驚かせました。それぞれのキャラクターのファンになり、アイドルを応援するように楽しめるのはもちろんですが、内容も鋭かったからこそ、口コミなどで幅広い層に広がり、いまのブレイクに繋がったのでは」


 実際、『おそ松さん』の放送時はいつも、TwitterなどのSNSで大きな話題となっている。加えて、雑誌などの露出の仕方も、通常のアニメとは異なる。


「『おそ松さん』特集号が売れるのは、その雑誌のために書き下ろしのイラストが提供されているからです。宣材用のオフィシャル画像で対応するのではなく、ちゃんとコラボレーションしている。それは、アイドル雑誌で撮り下ろし写真と、独占インタビューが求められるのと同じ構造ですね。グッズ展開やイベントコラボにも意欲的で、ファンの期待に応えるような商品が多いです。たとえば、7話に出てきたトッティ(トド松)のバイトしていた“スタバァ”で使っていたであろうマグカップやタンブラーまで再現されていて、彼らの顔が描かれたグッズ以外にも遊び心があると思いました。ただ、2月の下旬までは、商品の企画が間に合わず、予約を受けつける状態が続いていました。だから、雑誌の付録などのクリアファイル以外のグッズを持ち歩いている人を見かけることはなかったと思われますが、これからは、電車の中などで、カバンにおそ松さんグッズをつけている人をたくさん見かけるようになるでしょう。23日からファミリーマートで『おそ松さん グッズ プレゼントキャンペーン』が開催されるほか(売り切れ続出のようですが)、渋谷PARCOでは『おそ松さんショップ』、宮崎では『おそ松市 in MIYAZAKI』なども開催されます。すでに社会現象と言われていますが、それをより多くの人が実感するのも、時間の問題かと思われます」


 『おそ松さん』人気は、早くも2016年を象徴するムーブメントとなりそうだ。(松下博夫)