ホンダは24日、東京・青山のホンダ本社で八郷隆弘代表取締役社長の記者会見を開催。事業の今後の方向性などが語られるとともに、F1を含むモータースポーツ活動についての言及もあった。
会見で八郷社長は『グローバル6極体制での四輪事業の方向性』、『ホンダらしい新たな価値の創造』という2大テーマをもとに、各地域への投入車両や生産・販売、組織体制について、そして電動化技術の導入強化などについてスピーチを行った。
それらのテーマに続いて、モータースポーツ活動については「ホンダは創業以来、様々なレースにチャレンジし、自らの技術を世界の舞台で試し、磨き、証明することで、世界中のお客様と楽しさ、喜び、感動を共有してきました」と説明。その筆頭ともF1への参戦については、次のように語った。
「その活動の象徴として、昨年よりパワーユニットサプライヤーとしてF1へのチャレンジを7年ぶりにスタートしましたが、残念ながら大変厳しい結果となりました。今シーズンは昨年学んだことを活かし、着実に前進することで、マクラーレンとともに成果に繋げていきたいと思います」
その後の質疑応答では、モータースポーツに関する発信が少ないのではないのかという指摘もあったものの、「特にF1は昨年残念な結果になりましたので、結果がしっかり出るまではあまりいろいろなことは言うのをやめようかなというものもありまして、少ないコメントになっておりますが、決してモーターレースを諦めたわけでもありませんし、蔑ろにしているわけでもございません」と、言葉にやや力を込めながら語る場面もあった。
また、スピーチでは抽象的な表現に留まった今季に期する思いについては「まずは予選Q3。安定的に10番手以内から決勝に臨むことができるというのをひとつの目標にしていきたい」と具体的な目標を掲げた。
優勝の時期については「こればっかりは私にもなかなか想像できないのですが、できるだけ早い時期にしたいと考えております」と濁し、「今年は一歩一歩確実にしていく」として安定的な予選トップ10入りという目標を繰り返した。
なお、この社長会見に先立って、ホンダは23日に役員人事を発表。今年のF1プロジェクトの総責任者には新井康久氏に代わって長谷川祐介氏が就任している。また、新たに本社のF1担当役員が設けられることとなり本田技術研究所の社長も務める松本宜之氏が兼務することが発表されている。
八郷社長はこの他の部分も含めた今回の人事の目的について「今回の人事は世代交代をしていこうということを重点的に行いました。それと同時に、これまで一部責任が明確化していなかったところがあったと思っている」と説明。松本氏の立場については「研究所の所長とともにF1担当役員ということで、ホンダ技研としてF1の責任をもってもらうという意味を含めて(人事を)行いました」と話した。
またF1ではないものの、海外で囁かれている話として、新型NSXをベース車両としたFIA-GT3車両が登場するのではないかというものがある。しかし、FIA-GT3車両制作の可能性について問われた八郷社長は「やはりまずF1、そして今やっているレースに集中していくということで、ほかのレースへの参加というものは当面考えておりません」と回答した。