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「他社で新人教育を受けて社畜に成長したら入社」 自称ブラック企業が「カッコウ採用」をスタート

2016年02月23日 13:00  キャリコネニュース

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新卒で就職しても、3年で3割が辞めると言われて久しい。採用企業からすると、せっかくお金をかけて教育した人材に辞められるのは痛恨の極みだ。そんな中、新人教育を実質的に他社に丸投げする「カッコウ採用」を実施する企業が現れた。

自ら「ブラック企業」であると称し、労基署突入動画の公開など、これまでも度々ネタを提供してきたIT企業セブンコード(東京・新宿)が企画した。同社の濱野秀昭代表が2月18日に公開したブログには次のように書かれている。

「他社の正社員15ヶ月以降~5年まで、いつでもセブンコードグループに入社OK」

14人採用して残ったのは3人、ニコ生で「無能経営者」と罵られ……

対象になるのは2017年卒の学生。新卒を普通に採用しても定着しないので、入社前に他社で働いてもらって「育った社畜をゲットする」という作戦だ。そのため、実際に同社に入社するのは2018年以降になる。入社前には他社で働きながら、同社主催のスクール「ブラックアカデミー」で、ウェブコンテンツ制作を勉強することもできる。

同社では、2012年から新卒採用を実施し、これまで14人を採用。しかし、今現在会社に残っているのは3人だけと、定着率の低さに悩んできた。会社としては、辛くても3年は頑張って、「社畜」に成長してくれることを期待していたが、最近は売り手市場ということもあり、1~2年で辞める新人が後を絶たないという。

「『石の上にも3年』の諺を誰もが信じていると疑わず、3年間は頑張ってくれるだろうと見誤ったのが原因でございます」

濱野代表は先日、キャリコネニュース主催のニコニコ生放送に出演した際にも、定着率の低さを指摘され、視聴者から「無能経営者」と叩かれていた。しかし、新人教育に手間をかけていなかったわけではない。外部研修だけでなくグアムへの社員旅行なども会社が全額費用を出し、新人が定着するよう図ってきた。

「でも、ダメでした。想いは伝わると思っていたのが、そもそもの間違いでした。僕を筆頭に会社が弱かった。新卒を育てる能力がなかった」

社畜として「どの会社もそんなもんだ」と思えるようになったら入社

そこで、「自分に育てる力がないなら、誰かに育ててもらえばいいんだ!」という結論に到達した。新卒は全然定着しないセブンコードだが、中途採用の定着率はいいのだそうで、一度他社の仕事を経験することで、

「『どの会社もそんなもんだ』と、『隣の芝生も黒いんだな』と社畜として一皮むけてから入ってもらいたいと考えました」

と説明している。他の鳥の巣に卵を産みつけ、代わりに雛を育ててもらうカッコウになぞらえ、「カッコウ採用」と名付けた。

なお、他社で正社員を経験してからでなく、最初めから同社に入社したいという「奇特」な人も、最初の1年間は入社前準備期間として、フリーランスやアルバイトを経験する。その過程で社畜として成長し、2018年4月に晴れて入社になるとのことだ。

濱野代表はキャリコネニュースの取材に対し、

「3月と4月にセミナーを開催します。そこで、どんな業界に行っても役立つ仕事の学び方を教えるので、一回他社に就職し、そこからまた戻ってきてくれると嬉しいです。ちなみに、セミナーの参加費はマイナス1000円。1000円あげるので、僕の話を聞いて下さい」

と話していた。

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