現代社会を悩ます少子化問題。今の日本の出生率は1.42で、このままいくと50年後の我が国の人口は、現在の1億2708万人から3割減の8674万人になってしまうと予測されている。
この少子化問題を解決するひとつの「提案」として、「第1子に1000万円の支給をしたらどうか」というものがある。これは、国際政治経済情報誌「インサイドライン」編集長の歳川隆雄氏が昨年発表したコラムによるものだ。(文:みゆくらけん)
一時金支給にマツコ「お金目当てで子ども産む人が出てくる」
2月22日の「5時に夢中!」(TOKYO MX)でこの話題になると、37歳独身のコメンテーター・若林史江が「今産んで1000万もらえるんだったら、産みたくなりますよね」と即答した。
このゲンキンな若林の反応は「1000万円」という金額が、どれほど子育ての負担を軽減してくれるのかを証明している。食いつきが良いのは、なにも若林に限ったことではないだろう。しかし、若林はこうも付け加える。
「でも簡単にお金あげときゃいいんでしょ、みたいなのも違うと思います。……お金だけ渡すと、それが虐待につながるとかもたまにある」
これを受けて、隣に座るマツコ・デラックスも、大きな金額をバラまくことで発生する危険性を指摘した。
「お金目当てで子ども産む人が出てきちゃう」
確かにそういったリスクは大きい。たとえば「子どもを育てる」ということより「借金やローンの返済のため」を目的に子どもを作る人が出てこないとは言い切れない。出産が何か別の目的を叶える「手段」となっては絶対にいけないのである。
「だからアタシやっぱり、コレ(一時金)も大事なやり方だと思うけど、子どもにかかるお金っていうのは『大丈夫だよ』って、『ちゃんと国が責任を持って中学卒業するまでは責任持って育ててあげますよ』っていう制度がないと安心できないと思う」(マツコ)
「超少子化」が国全体に及ぼす影響は甚大だが
2月20日のNHKスペシャルでも、「超少子化」をテーマに放送していた。内容は、今の出生率や未来の不安、対策などを掘り下げたものだ。
高齢者が増え若い世代が減ることによる介護や社会保障の負担問題など、現状のままでいくことのヤバさが浮き彫りになった。しかし、番組の中で特に印象的だったのは「産む人」の立場に立ったホラン千秋のこの発言だ。
「少子化をなくそうと思って、子どもを産むわけじゃない」
これは、とても正直で的を射た発言だと思う。先日「子どもを産む・産まない」に関する記事を書いたら多くの反響をいただいた。出産しないという選択も自由で、「産む人にも産まない人にも優しい世の中へ」といった主旨の記事だったが、いただいた多数のコメントに目を通していたところ、こんな内容がチラホラと目についた。
「産まない自由とか言っていると少子化ますます進んでヤバい」
「この国が滅亡しかねない」
子どもを育てる不安さえなくなれば、親になる道へ飛び込んでいける
確かに、国レベルで考えればそれは正論だ。しかし個人レベルで考えれば、ホランの言うように、少子化対策を担うため!と意気込んで産む人は少ないのではないか。一般的には「国の未来のため」というより「自分が産みたいから産む」という気持ちが実際の出産につながるのだと思う。
つまり、「産みたいと思う人」の背中をいかに押すことができるかが、少子化対策の肝だ。必要なのは何よりも、安心して産める環境を作ること。
産みたくても躊躇する人の大半は、子どもを育てる上での不安(特に金銭面など)さえクリアになれば、親になる道へ飛び込んでいけるのだ。必要なのは行政の子育て支援、会社の体制作り、夫の協力など。「安心できる産みやすい社会」のために取り組むべき課題は、まだ山積みだ。
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