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KAT-TUN、小休止後はより個性的なグループに? 異例の“充電期間”の意味を再考する

2016年02月23日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 KAT-TUNが2016年5月1日をもって“充電期間”に入る。


 同グループは、すでに3月末で田口淳之介が事務所を退所することが決定しており、3月22日には初のベストアルバム『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY BEST “10Ks!”』をリリース、4月から亀梨和也、上田竜也、中丸雄一の3名体制で、デビュー10周年を記念した全国ツアー『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR “10Ks!”』を行う予定だ。。以降はソロ活動に力を注ぎ、機が熟したタイミングで再集合する旨を発表している。


 ジャニーズに詳しい識者は、今回の“充電宣言”をどう捉えているのだろうか。『中居正広という生き方』や『紅白歌合戦と日本人』の著者で、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏は、彼らの発表についてこうコメントした。


「近年のジャニーズは、チームワークやまとまりの良さを打ち出したグループが多い中、KAT-TUNは不良的なイメージで注目され、それぞれの個性の強いグループとして存在感を発揮してきました。ただそうしたこともあってか、彼らの歴史は苦難の連続で、これまでも個人としての生き方を尊重した結果、メンバーが次々と脱退しています。しかし、“充電”というかたちは初めての例のように思いますので驚いていますが、これは同時に自分たちのホームであるグループ活動へ『必ず戻ってくる』という意思表明だといえるでしょう」


 “充電期間”という言い回しがこれまでのグループになかったことについて、太田氏はジャニーズによる「実験」なのではと推察する。


「個性の強いグループだからこそ、いまのジャニーズ全体の状況を見たうえで、実験的に休ませているという見方もあります。アイドルは男女問わず、グループとしての活動期間が長期化する時代になり、そのなかでグループが歩む道も多種多様、一度休むことが必要になってくるグループもあって当然とも考えられるのでは。本人たちも1,2年とはっきり具体的な期間を口にしていますし、これからの活動のために小休息するという風に、ポジティブにとらえることができると思います」


 また、田口の脱退は従来の脱退劇とは少し雰囲気が違うものであり、その背景には彼らの冠番組が影響していると太田氏は指摘した。


「彼らの冠番組である『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)では、スタッフやメンバーが度々田口の脱退をネタにし、オープンな笑いを取っています。ここまで明るさのある脱退劇はグループにとってもファンにとっても初めてで、もちろん寂しさもある半面、その先の充電期間を含めて前向きな気持ちにさせてくれるものがあります」


 続けて、同氏はKAT-TUNがレギュラー出演しているバラエティ番組『ザ少年倶楽部プレミアム』(NHK BSプレミアム)を例に挙げ、充電期間以降の活動についてこう述べる。


「『ザ少年倶楽部プレミアム』はBSなので、ファン中心に浸透している番組ですが、KAT-TUNは同番組を通じて、他グループと共演することが多くみられました。合コン的な企画をHay! Say! JUMPのメンバーと行なったり、かつてのJr.時代の再現でKinKi Kidsのバックダンサーとして踊ったりと、普段ジャニーズらしさが薄めの印象の彼らが、ジャニーズであることを再確認し、“充電期間”中も個人として他のグループの番組に出ていくことができそうな可能性を感じさせる番組でした」


 『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』は終了、『ザ少年倶楽部プレミアム』はMCを交代するという説が濃厚だが、以降の個人活動について、最後に太田氏は以下のように語った。


「グループとしての出演番組がなくなってしまうのは残念ですが、これまですでに、亀梨は俳優としての力量、中丸はMC力の高さやイラストの才能、上田は身体能力も生かしたバラエティ適性の高さと、それぞれのメンバーが個人活動で実績を積み、新しい可能性を見せてくれています。今後も彼らが個人としての活動スケールを上手く広げていけば、KAT-TUNはジャニーズでも貴重なより個性の強いグループとしてカムバックし、さらに活躍できるのではないでしょうか」


 KAT-TUNは充電期間を終えたとき、より個性の強いグループとしてもう一皮剥けた存在になることができるのだろうか。(向原康太)