メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズのマネジングディレクター、アンディ・コーウェルは、W07に搭載するパワーユニット106Cに関し、昨年以上に効率を追求し、耐久性向上を図っていくと述べた。
メルセデスは19日にシルバーストンでPRデーとして新車W07のシェイクダウンを行い、21日にマシンの写真を正式に公開した。
2014年、2015年にコンストラクターズ&ドライバーズタイトルを獲得、特にそのパワーユニットは現在のF1で最強であると考えられているメルセデスだが、パフォーマンスをさらに向上するとともに、昨年発生したようなトラブルを再発させないような努力も行っていくと、コーウェルは語った。
「この新世代のパワーユニットからパフォーマンスを引き出すには、効率を追求する必要がある。燃焼効率、そしてエネルギーが移行する各段階、つまりMGU-H、MGU-K、ターボチャージャー、パワーエレクトロニクス、バッテリーといったものの効率だ」とコーウェル。
「クランクシャフトのパフォーマンス向上というように、常にあらゆる面で取り組みを行うと同時に、昨年起きた信頼性のトラブルを一切再発させないことも目指している。そのために問題の原因を突き止め、プロセス全体においてすべてを強固にし、同時にパフォーマンスも引き出さなければならない」
昨年の19戦から今年は21戦に増えるため、各マシンごとに使用できるパワーユニットの数が1基増え今年は5基使えるようになる。そのため昨年よりは幾分余裕が出ることになるが、それでもこれまでどおり耐久性向上を追求していくと、コーウェルは述べている。
「使用できるパワーユニットの基数が増えるのはマニュファクチャラーにとっていいことだ。各ユニットが走り切らなければならないレース数が減り、各コンポーネントのライフに関してプレッシャーが減ることになる」
「だが実際には耐久性における目標は変わらない。各パワーユニットが少なくとも5戦は持つようにすることを目指している。それができればドライバーひとりあたり1シーズン4基で済む。もし何か信頼性の問題があってもそれに対処できるし、重要なレースでパフォーマンス増強のため、余分なユニットを使えるというメリットになるだろう」
メルセデスは昨年イタリアGPでパワーユニットのアップグレードを行った際にはワークスチームしか最新仕様を使うことができなかった。しかし今年の開幕戦ではカスタマーチームすべてにワークスチームと同じ仕様のパワーユニットを供給すると、コーウェルは語った。
「昨年の最終仕様はあの時点でリソースの関係でワークスチームにしか供給できなかった。だが秋と冬にかけて開発を続け、すべてのメルセデスユーザーチームに供給できるようになった。全カスタマーチームにワークスチームと全く同じ仕様の、改良されたパッケージを提供する。メルセデスのパワーユニットを搭載する8台は(開幕戦)メルボルンでは同じハードウェアとパフォーマンスのポテンシャルを持つユニットを手に入れることになる」
2016年、メルセデスはウイリアムズ、フォース・インディア、マノーにパワーユニットを供給する。