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進むアジア市場向けローカライズ、スズキタカユキがインドネシア企業と協業

2016年02月21日 19:53  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

ジャカルタで発表された「suzuki takayuki for Bateeq」
ファッションデザイナーとして約15年にわたるキャリアを積んできたスズキタカユキ氏が、インドネシア・ジャカルタのアパレル企業にデザイン提供する形で協業し、現地向けのコレクションを制作した。初回はジャカルタファッションウィークで発表され、2月からジャカルタのギャラリー・ラファイエットで販売。現在2社と契約し、アジア市場における新しいローカルビジネスを開拓している。

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 経済成長が著しいアジアの新興国に着目したスズキ氏は、2015年にジャカルタファッションウィークのディレクターからのオファーを受けてインドネシアを訪れ「活力があり発展性や可能性を感じた」ことから、従業員1万人以上の工場を持つ現地アパレル企業のDan Lirisと契約。同社のブランド「バティーク(Bateeq)」とコラボレーションし、現地の人々の装いや文化などをリサーチしながら「スズキタカユキ フォー バティーク(suzuki takayuki for Bateeq)」のブランド名でコレクションを制作した。企画デザインは全てソロにある工場で進められ「パターンからテキスタイル、プリントまでプロフェッショナルがそろっていて、縫製技術も非常に高い」ことを実感したという。ショーでは約40体を発表し、これまで使用してこなかった色や伝統的なバティック柄から着想したプリントなどを取り入れたコレクションが好評を得た。次シーズンの制作も進んでいるほか、新たに2社目の取り組みとして現地アパレル企業の(X)S.M.Lと契約し、5月に新コレクションの発表を控えている。いずれの企業も国外のデザイナーと提携しクリエイティビティを取り入れることで、生産背景を活かしながら付加価値の高い商品の提供が可能になっている。
 スズキ氏は、様々な側面でファッションの構造が変化していることを見据えて「これまでのようにパリやNYから世界に向けて発信するやり方もあるが、今はローカルに入り込んで新しい物づくりを開拓していく方に将来性を感じている」と話す。東南アジアと日本をつなぎ企業のマッチングやコンサルティングなどを務めているサイド代表の横堀良男氏は、これからのアジア市場に向けた展開について「そのまま売り込もうとするだけではなく、いかにその土地に合わせられるかが要になってくる」と指摘。特に季節感や宗教などに特色がありファッション産業が発展途上にある東南アジア諸国では、グローバルを視野に入れたローカライズの取り組みが進みそうだ。