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ミセス、DAOKO、Suchmos、ネバヤン、あいみょん、LILI LIMIT……若手6組が切磋琢磨したスペシャ新人イベントを観た

2016年02月21日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

DAOKO。(写真=古溪一道)

 渋谷WWWで2月16日、『SPACE SHOWER NEW FORCE』のライブイベントが開催され、あいみょん、Suchmos、DAOKO、never young beach、Mrs. GREEN APPLE、LILI LIMITがパフォーマンスを繰り広げた。


 スペースシャワーTVが主催する音楽とカルチャーの祭典「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016」の一環として開催された同イベント。近い将来にブレイクが期待されるニューカマーをスペースシャワーTVがピックアップし、紹介する新企画だ。「SPACE SHOWER NEW FORCE」自体には上記のアーティスト以外にもシンリズム、パノラマパナマタウン、PELICAN FANCLUB、ぼくのりりっくのぼうよみが選出されており、今回は6アーティストが出演した。また、チケットの完売を受け、ライブ当日は『スペシャアプリ』、『SPACE SHOWER ON DEMAND』、『LINE LIVE』で配信を実施。多くの視聴者がこの公演を見届けた。


 まず1番手に登場したのは、2015年3月にトイズファクトリーからメジャーデビューした女性ラッパー・DAOKO。彼女はこれまで同会場で2度のワンマンライブを行なってきたが、今回もその際と同じく、自身と観客の間に紗幕を引き、アーティスティックな映像の背景で歌うというステージセット。「高い壁には幾千のドア」から始まったライブは、「かけてあげる」「水星」と、彼女のウィスパーボイスが活きる、メロウな楽曲を連続して披露した。その後DAOKOは、MCで「まだまだ皆さん、踊ってくれますよね?」と観客を煽り、ステージにはダンサー2名が登場。疾走感のあるサビが特徴的な「きみ」、スタジオカラーとのコラボでも話題を呼んだ「さみしいかみさま」、80年代後半~90年代のJ-POPに近い、分かりやすいキメを多用したトラックに乗せ、渋谷の街をテーマにした歌詞も特徴的な「ShibuyaK」を歌い上げ、ステージを後にした。


 2番手のSuchmosは、YONCE(Vo.)が「神奈川県の湘南から来ましたSuchmosです! よろしくお願いします!」と地元をレぺゼンしてからスタート。まずは彼らの代表曲である「YMM」とHSU(Ba.)のファンキーなベースで会場の空気をつかみ、観客も横ノリに踊って彼らの演奏に応えた。その後は、高速のセッションへと次第に変化する「Alright」をパフォーマンスし、新曲「JET COAST」を披露。続けて最新EP『LOVE&VICE』のリード曲であり、YONCEが随所に入れ込むファルセットが特徴的な「STAYTUNE」を演奏し、バンド初期からの人気曲「Miree」、「Life Easy」で締めくくった。


 3番手に登場したのはnever young beach。Suchmosとも親しい彼らだが、その音楽性は70年代後半から80年代の歌謡ポップス、ナイアガラサウンドや同年代のGSサウンドを彷彿とさせるもの。緩やかな雰囲気で始まった1曲目「どんな感じ?」から、カントリー風のギターが目立つ「MOTEL」など、粘り気の強い安部勇磨(Vo./Gt.)のボーカルと、安部、松島皓(Gt.)、阿南智史(Gt.)によるギター3本がエキゾチックな音色を奏で、巽啓伍(Ba.)と鈴木健人(Dr.)のリズム隊も独特のグルーヴでこれに応えていた。また、安部はMCで「この機会に言うけど、俺の見た目のイメージが影響してか『不潔そう』って言われることが多い! でも、俺はちゃんとトリートメントしたあとにリンスもしてるんだよ!」と、ユルい発言で会場の雰囲気を和ませた。


 その後、メインステージの転換中には、サブステージへあいみょんが登場した。毒気のある言葉とポップな楽曲が話題の彼女は冒頭、ギター1本で「どうせ死ぬなら」を歌唱すると、先ほどまで和やかだった会場の空気は一変。観客は彼女の言葉一つ一つを聞き逃すまいと、真剣に見入っている様子だった。その後は「泥だんごの天才いたよね」「19歳になりたくない」と、大人と子供の間で揺れ動く感情を表現した2曲を歌い、一旦ステージを後にした。


 4番手のLILI LIMITは、ダークな雰囲気から徐々に高揚感を生み出すダンスロック「Girls like Chagall」でライブをスタートさせると、続けて土器大洋(Gt.)が演奏するクリーントーンのギターリフと、志水美日(Key.)の鍵盤による絡みが印象的な「h.e.w」を披露。牧野純平(Vo.)はMCで「僕らは無名だからこそ、今日は証明しないといけないんです。人生にはそういう時がある」と語り、「Boys eat Noodle」「seta gaya」とそれぞれテイストの違う楽曲群を演奏し、最後はメンバー全員と観客がイントロのコーラスを合唱した「Festa」で出番を締めくくった。


 ここで再びサブステージに登場したあいみょんは、“電車への飛び込み自殺”というモチーフを様々な角度から切り取った新曲「生きていたんだよな」を熱唱。続けて「私、最近上京してきたんですけど、この曲の題材になった子から、久々に手紙が届いたんです」と「〇〇ちゃん」を、最後は彼女の代表曲「貴方解剖純愛歌~死ね~」を歌い上げた。


 トリに登場したMrs. GREEN APPLEは、最新アルバム『TWELVE』より、サウンドの緩急に合わせ、メンバーがコミカルに躍動する「愛情と矛先」と「Speaking」からパフォーマンスをスタート。続く「リスキーゲーム」では、観客とともにタオルを振り回して盛り上がった。その後、インディー時代からの人気曲「アンゼンパイ」、2015年末より披露している新曲「うブ」を演奏した同バンドは、MCで大森元貴(Gt./Vo.)が「普段生活をしていて名前を聞くアーティストの人たちに並べていただいて光栄」と控えめに語ったあと、彼らの代表曲でもある「StaRt」を熱唱し、本編が終了。アンコールでは「パブリック」をパフォーマンスし、この日のライブは幕を閉じた。


 期待の若手6組が、様々な個性をプレゼンテーションし合ったこの日のライブ。音楽業界を牽引するほどのスターに成長するアーティストが、ここから一組でも多く輩出されることを楽しみに、引き続き彼らの活躍を見守りたい。


(取材・文=中村拓海)