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『ダメ恋』三浦翔平のプロポーズシーンが、視聴者を魅了した3つの理由

2016年02月21日 09:31  リアルサウンド

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リアルサウンド映画部

 三浦翔平が2月16日に放送されたTBS系連続ドラマ『ダメな私に恋してください』で披露したプロポーズシーンが、ネットを中心に話題となっている。前回、第5話では深田恭子演じる主人公・ミチコとのキスシーンを披露し、続く第6話で今回のプロポーズへと繋がった。ドラマ放送中からTwitterでは「ダメ恋」、「三浦翔平」ほか、三浦の役名である「最上くん」がトレンドワード入りした。本稿では、なぜ今回のプロポーズシーンが評判を呼んだのかを考察するとともに、三浦翔平の役者としての特性に迫りたい。


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 今回のプロポーズシーンは、ダイヤのリングを模した画面いっぱいのイルミネーションの中で行われた。三浦演じる最上がミチコを呼び出し、ふたりでイルミネーションの中を歩くというシチュエーションは、恋愛ドラマでは定番といえる光景ではあるものの、今なお視聴者を惹き付けるものがある。第5話で見せたキスシーンでは、一度ミチコがはぐらかし、最上からのキスをかわしたことで、まだ二人の間には微妙な距離感があることが感じられた。第6話では、最上の両親がともに入院していることがわかり、ミチコの過去のトラウマや、同棲が延期になったことから、再びふたりの距離が広がるのではと思われた。しかし、そうしたタイミングだったからこそ最上のプロポーズは効果的で、それまでの不安を一気にかき消すほどのインパクトがあった。物語の運びのうまさが、このプロポーズを劇的にしたのは確かで、ふたりを行く末を案じていた視聴者にとっても感動的なシーンだったはずだ。


 しかし、それよりも印象的だったのは最上の「同じ経験を共有し、一緒に年を重ねていきたい」という台詞だ。一昔前のプロポーズの台詞というと「必ず君を幸せにする」といった、男性が女性を守るという関係性を伺わせるものが多かった印象だが、最上のプロポーズはむしろ対等さをアピールするもので、旧来的な価値観とは違いが見られる。だが、最上の台詞は等身大でありながら、自他共に尊重しようという意思が感じられ、昨今の恋愛観においてはとても誠実に映るのではないか。


 20代の恋愛観を調べた意識調査によると、「振られるリスクを考えると、友達のままの方が良い」と考える女性が48.6%、男性が31.7%という結果が出ている(引用:リクルート ブライダル総研 恋愛観調査2014)。この回答をした男女の割合はともに30代、40代と比べて高く、恋人になるための一歩を踏み出せない若者が多いということがわかる。男性の場合はとくに、金銭的な理由などから自信が持てずに、積極的にアプローチできないというケースも多いだろう。だからこそ、リスクを恐れずに等身大の自分をぶつけた最上のプロポーズには説得力があったし、その正直さこそが多くの女性の心を打ったはずだ。


 もちろん、三浦翔平の演技も特筆すべきだろう。2011年から毎年連続ドラマにレギュラー出演し続けている三浦だが、当然ながらその印象は作品によって異なる。2015年10~12月に放送された日本テレビ系列の連続ドラマ『エンジェル・ハート』では、物語の序盤で主演の上川隆也に敵対する黒幕として、激しいアクションシーンを披露するとともに、冷酷さを感じさせる演技で視聴者に強烈な印象を与えた。その後、主人公を慕うようになった後は誠実さを感じさせる人柄へと変わったが、どこかクールな印象は保ち続けていた。一方、今回のドラマで演じている最上では、そういったダークな部分を一切感じさせず、常に微笑んでいる柔らかな男性というイメージを見事に作り上げている。時に涙もろいのは、いまどきの草食系男子のイメージを、そのまま具現化したかのようだ。そんな優男の彼が、意を決してプロポーズしたのだから、応援せずにはいられないのも当然である。


 いまどきの若者の恋愛観を反映したうえで、誠実さを感じさせた今回のプロポーズは、多くの女性にとって憧れとなったのはもちろん、一歩を踏み出せずにいる男性にとっても、背中を押してくれるものとなったのではないか。しかしまだ、物語の結末はわからない。完璧に見えたプロポーズがどんな結果を生むのか、23日放送の第7話を待つとしよう。(小島由女)