アストンマーチン・レーシングは2月19日、2016年のWEC世界耐久選手権に臨む新型バンテージGTEを公開した。
長年WECのLM-GTEクラスに複数台のV8バンテージを送り込み、AFコルセのフェラーリやマンタイがオペレートするポルシェと熾烈な戦いを繰り広げてきたアストンマーチン。2016年のWECに向けて、大幅にリニューアルした体制とともに、新型バンテージGTEを公開した。
16年から導入される新LM-GTE規定は、多くのシリーズで採用されているGT3規定と明確に区別化するため、空力を大幅に自由化している。すでに北米で実戦を戦っているフォードGTにも見られるとおり、大柄なディフューザーが備えられているほか、後輪中央部から下面を基準にボディラインを改良できる。
19日公開された新バンテージも、そんな特徴を備えた1台となった。伝統のモスグリーンと、ライムグリーンに彩られたボディは前面こそ大型化したリップスポイラーをのぞきこれまでと大きな違いはないが、リヤを見ると巨大なディフューザーが備えられていることが分かる。
また、チームは体制も大幅に変更した。驚きはダンロップタイヤの採用だ。これまでLM-GTEカテゴリーはミシュランが多数派で、ダンロップもタイヤは製作していたが大きなシェアはなかった。アストンマーチンは今後、ダンロップと強力にタッグを組み『ダンロップ・スポーツマックスGT』と名付けられたタイヤを開発していく。また、エナジーサプライヤーもトタルに変更された。
チームは今季のWECではLM-GTEプロクラスに2台、LM-GTEアマクラスには1台を送り込む。プロクラスの95号車はどちらもデンマーク人のニッキー・ティームとマルコ・ソレンセンが組む。97号車には今オフ日本でスーパーフォーミュラのテストも行ったリッチー・スタナウェイと、ジョニー・アダム、フェルナンド・リースが乗り込む。GTEアマの98号車は、ポール・ダラ-ラナ、ペドロ・ラミー、マティアス・ラウダのトリオとなった。
さらにアストンマーチン・レーシングは、バンテージGT3でニュルブルクリンク24時間に2台体制で参戦することも同時に発表した。こちらもダンロップタイヤを装着する。
今季のWECはAFコルセが投入するフェラーリ488 GTE、巨人フォードが送り込むフォードGTとの戦いとなる。ル・マン24時間ではさらにシボレー・コルベットC7.R、ポルシェ911 RSRがLM-GTEプロクラスに加わり、アストンマーチンとの5ワークスの戦いとなりそうだ。