共働き夫婦にとっては子どもが生まれた後、保育園に入れるかどうかはまさに死活問題だ。最近は希望の保育園に入るために、出産前から色々と対策する「保活」をする人も少なくないが、かなり大変なようだ。
はてな匿名ダイアリーでは2月中旬から、子育て中の母親による「保育園落ちた日本死ね!!」というエントリーが盛り上がりを見せていたが、今度は「保育園の第一志望受かったけどやっぱり日本死ね」という記事が18日に投稿された。
筆者は、都内に住む自営業の男性。妻は大手企業に勤務している。現在8か月の娘がいるが、出産前から保活に取り組み、人口増加地域の激戦区にもかかわらず、家から徒歩1分の第一志望の認可保育園に入れることができた。
入園点数を上げるため「偽装離婚」や「障がい者申請」も検討
記事では、実際に行った保活内容を詳細に紹介。新規の定員が少ない1歳児は、0歳児よりも入園が困難と言われているため、0歳児のうちに4月入園を目指すなら「4月から8月までに生まれるように仕込み時期を調整」するという。
万が一の保険として可能ならば選挙運動を手伝うなどして、地域の地方議員ともコネを作っておく。親戚や知人に政党の偉い人がいれば、思い切って入党する手もあるとし「自分の家族を守るためならマルクスでも法華経でも頼る覚悟が必要だ」とまで書いている。
妊娠が判明し産婦人科受診が終わったら、すぐに区役所の「保育関連課詣で」を始める。夫婦で複数回行くのがポイントで、担当者に顔と名前を覚えてもらう。そして権限と知識を持つ職員を特定し「その相手との良好な人間関係を重点的に築くように努める」のだ。
そのとき気をつけるのが、近隣に住む妻の母親など「夫以外で保育能力を持つ人」とは絶対に一緒に行かないこと。区役所に「この人はいざとなれば保育園に入れなくても大丈夫」と思われる危険性があるとする。
妊娠安定期に入ったら、保育園見学を始めるとともに入園点数をあげるために準備を行う。認可保育園の入園選考は点数制で行われ、東京都の場合、両親ともにフルタイム勤務だと「20点+20点」で40点という具合だ。
妻か夫が非正規雇用や在宅勤務だと点数が不足するので「あらゆる手段を通じてポイントを上げないと入園が難しい場合がある」と筆者は指摘する。点数を上げるために、偽装離婚や偽装別居、夫婦どちらかの近視や乱視がひどければ障がい者申請も検討したという。
「ふざけんなボケ!」家の隣の保育園に入れるだけで一家総動員
出産後は、子どもを連れて再び区役所詣を行う。筆者は退院の足で、生後7日の娘を連れて区役所に行き、「○○さんに子どもを見せに来ましたー」と顔と名前を刷り込ませた。かなりの徹底ぶりだ。合法的だが紹介できないような「裏技」も実施したそうだ。
その後、早めに入園書類を作成し、市役所の担当職員に不備がないか確認してもらう。点数アップ以外の施策がどの程度効いたかは不明だが、こうした活動を経て無事に希望の保育園に娘を入れることができた。しかし、筆者は「ふざけんなボケ!」と憤る。
「なんで、たかが家の隣にある普通の保育園(高級私立でもなんでもない)に娘を入れるだけのことで、こんな一家総動員体制を敷かなきゃならねえんだよクズが!」
保育に関しては、日本は「行政糞国家」だと指摘。子どもには教育を受けさせ、将来本人が希望すれば海外でも生きていけるようにしたい、と書いている。
実際、この夫婦と同様、保育園に入れるために苦労している人は多い。オウチーノ総研が昨年行った調査では、0歳~3歳児の母親の3人に1人が保活を行ったと回答。「自分の就労条件を変えた」(13.8%)、「出産後の職場復帰を早めた」(9.2%)というのは、少しでも点数を上げるためだと見られる。
「泣き崩れたら入れてくれた」という保活都市伝説も
ネット上では「担当窓口で泣き崩れたら入れてくれた」「嘆願書を送ると有利になる」といった「保活都市伝説」まで飛び交っている。選考は点数制で行われるため、こうしたテクニックは基本的に効果がないと言われているが、それだけ必死ということだろう。
前出のはてな匿名ダイアリーの投稿は、1700以上のブックマークが付き、「クソゲーの攻略wikiみたいだ」「田舎に住めれば(=田舎に仕事や地縁があれば)ほとんど解決しそうなんだけどなー」といった反応が寄せられていた。