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WRC参戦ドライバー、安全面に懸念があれば競技のボイコットも辞さないと強調

2016年02月18日 20:11  AUTOSPORT web

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安全面に懸念を感じた場合、競技のボイコットも辞さないと語ったセバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)
世界ラリー選手権(WRC)に参戦しているドライバーたちは競技のボイコットについて言及。安全面に疑問を感じた場合、シリーズのどのラウンドでもボイコットする考えであることを強調した。

 先週行われたWRC第2戦スウェーデンは深刻な雪不足に見舞われ、競技初日の路面はグラベルがむき出しの状態となっていた。ドライバーたちはレギュレーションで使用が義務付けられているスパイクタイヤでの走行は危険だとして、競技が始まる直前にミーティングを実施。オープニングステージの走行をボイコットするか協議を行ったが、ヒュンダイのヘイデン・パッドンが反対したため、全ドライバーがステージを走行した。

 ドライバーらは3月3日に開幕する第3戦メキシコ前に再びミーティングを行うという。このドライバーらによる会合は、セバスチャン・オジエとクリス・ミークが主導しており、ドライバーからの意見がないがしろにされた場合、ボイコットも辞さないことを改めて強調した。なお、最悪の事態を回避するべく、FIAは選手らと共同で取り組む用意があるとしている。

 オジエは「安全上の問題に対して、僕たちが関わることができないのは不自然だよ」と英Motorsport Newsにコメントしている。

「近日中にミーティングを開催する。そして、今後はオーガナイザーとの議論に参加できるようにしたいと考えている。少なくともドライバー1名が出席できるようにしたいね」

 スケジュールの短縮などにより、ラリー・スウェーデンは無事に終了したものの、ミークはいざという時はドライバーたちは断固とした態度を示すべきだとしている。

「僕たちはドライバーによる組織を作る必要がある」とミーク。

「もし僕たちが納得できない状態ならば、拒否権を行使できる立場にいなくてはならない。少なくとも拒否するという意志を伝える手段は必要だ」

「もちろん、ステージの走行をボイコットして、真逆の方向にマシンを進めるなんて恥ずかしいことはしたくない。ただ、必要ならば、そういった行動を取るだろう」


 ドライバーのなかには、昨年行われたラリー・オーストラリアからWRCプロモーターやオーガナイザーに対する不満を抱えている者もいるようだ。昨年のラリー・オーストラリアでは、グラベル路面でナイトステージが行われ、ドライバーからは前走車が巻き上げた砂埃で視界が遮られたため、身の危険を感じたとの声が挙がっている。

 ミークは「FIAには安全面に関する議論は大会が始まる前に行うべきだと申し入れた」とつけ加えた。

「(昨年行われた)オーストラリア大会の前までは、(WRCプロモーターから)3カ月で25通しかメールは来なかった。アイテナリーを知らされた後は何の連絡もない状態だった」

「ラリー・オーストラリアの期間中は、ずっとバカにされた気分だった。挙句に、大会終了後に『来年はナイトステージが3つに増える』と伝えられたんだ」

 また、ミークは近年のWRCではスポーツとしての観点からではなく、商業的観点から物事が決定されていると指摘した。

「もし10年前に同じ状況になっていたならば、今回のラリー・スウェーデンは中止されていただろう。中止されなかったのは、お金が理由だ。今はお金がモノを言う状況なんだよ」

「スパイクのなくなったスパイクタイヤで走ることが、どれだけ危険なことか誰も理解していない。レーシングスピードで走るなんて不可能なんだよ」

「まるで、テレビ放映と資金作りのための操り人形にされた気分だった。もし、ラリー・スウェーデンをフルグラベル路面でも行うという決断を下していたら、それはラリーというスポーツそのものを冒涜する行為になっていた」