2016年02月18日 17:52 弁護士ドットコム
上司の不正を内部通報したところ不当な配置転換をされたとして、大手精密機器メーカー「オリンパス」(本社・東京都)を訴え、最高裁で勝訴が確定した社員の濱田正晴さん(55)が、その後も不当な扱いを受けたとして、同社に2600万円の損害賠償と職位の回復などを再び求めていた裁判は2月18日、東京地裁で和解が成立した。
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和解成立後、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで、濱田さんとその代理人弁護士による記者会見が開かれた。会見での説明によると、和解の主な内容は、(1)会社側が濱田さんに和解金として1100万円を支払う(2)和解の内容を全社員に知らせる(3)今後、濱田さんに不当な取り扱いをしないと約束する、というものだ。
会見などによると、濱田さんは2007年6月、取引先の社員を引き抜こうとした上司の行動を社内窓口に通報したのち、営業職から、経験のない部署へ異動を命じられた。会社を相手取って「配転無効」を求める裁判を起こし、2審で逆転勝訴。会社側に賠償や配転命令の取り消しを命じた判決が、2012年6月に最高裁で確定していた。
しかし、その後も子会社への転籍を求められるなど不当な扱いを受けたとして、2012年9月、再び提訴していた。
和解成立後の会見で、濱田さんは、「会社と仲直りできて本当によかった。この和解が、本当の意味で通報者を守って、不祥事を起こさない体質に生まれ変わる決意を示すスタートラインになってほしい」と述べた。
なお、濱田さんは希望していた営業職への復帰はできず、内部通報後に配属された、社員教育を担当する部署で勤務を続ける。このことについて濱田さんは、「営業は天職。正直に言って残念だが、気持ちを入れ替えて、営業の仕事で得たスキルを他のあらゆる部署で活かしたい」と語った。
オリンパスの広報・IR部の小林修課長は、マスコミに向けて次のようなコメントを出した。
「本訴訟について従業員との間で和解に至ったことは事実として確認しております。訴訟自体長期に及んでいたこともあり、社内の平常化のために終了できたことに対し、当社としては一定の評価をしたいと考えています」
(弁護士ドットコムニュース)