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大気汚染が深刻な中国で「空気」が人気商品に! ボトル1本1700円でも爆売れ状態

2016年02月18日 11:41  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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経済学では「自由財」という概念があります。皆が満足する量を上回る量が存在していて希少性がなく、さらに、獲得するためにコストがいらないもの、というのが定義で、典型例としては空気や海水などがあたります。

しかし、自由財の定義は環境にも影響されます。例えば砂漠では砂が自由財ですが、東京の工事現場では買わなければいけません。そして中国では今、「空気」でさえ自由財ではなくなりました。

中国の大気汚染は日本でもニュースになっていますが、工場の多い地域はもちろん、首都北京も深刻な状況になっています。昨年12月には、PM2.5の濃度が1立方メートルあたり660マイクログラムに達し、スモッグで数百メートル先も見えなくなりました。(文:ラ ガイシュン)

500本が4日で完売、子どものために新鮮な空気を求める主婦に大人気!

そんな中、カナダのあるベンチャー企業が「これはチャンスだ。中国で新鮮な空気を売ろう!」と思い立ちました。この『Vitality Air』という会社は、カナダのバンフ国立公園で採取した綺麗な空気を圧縮してボトルに詰め、1本を大体100人民元(約1700円)で売っています。中国では、ペットボトルのミネラルウォーター50本分もの価格です。

創業者のモーシス・リン氏がメディアに語った内容によると、最初、試験的に空気ボトル500本を中国で販売してみたところ、4日で完売。次に4000ボトルも用意しましたが、発送する前に予約分で売り切れてしてしまいました。

中国で販売を開始する前に、リン氏は冗談半分でEbayに空気を出品してみました。すると、プラスチック容器に入った空気が、0.5米ドル(55円ぐらい)で売れました。2本目はなんと1本160ドル(約18000円)で売れたとのことで、その時点で彼は空気の需要が存在することを確信したといいます。

では、一体どのような人たちが空気を買っているのでしょうか。一番多いのが、家庭の主婦たちです。彼女たちは家族、特に子どものために綺麗な空気を買います。他には、高齢夫婦や高級クラブ、バーなども同社の主な顧客です。

今一番の課題は、ますます増える注文に生産スピードが追いつかないこと。どこにでもある空気ですが、ボトルへの注入は手作業で行っており、大量生産は意外と難しいようです。同社は、中国以外にもインドや中東、北米でビジネスを展開しています。

アメリカでは「世界一高い氷」が発売、商機は最早どこにでもある!

一方、アメリカでは昨年、「世界で一番高い氷」が発売されました。この氷は巨大な一つの氷を解体して作られており、普通の氷と比べて不純物が極めく少ないことが特徴です。そのため、臭いがなく、お酒に入れても、お酒の純粋な香りを楽しむことができます。しかも、飲み物に入れてから30~40分は溶けません。

この氷、50個セットの値段はなんと325米ドル(約36800円)。興味のある読者さんはぜひ『Glace Luxury Ice』で検索してみましょう。

空気でも氷でも、世界には、一見すると何で売れるのか分からない不思議な商品が多数存在しています。恐らく現代では、これは売れないというものはありません。売る場所と方法、そしてタイミングが正しければ商機はどこでもあると考えられます。

【プロフィール 】
ラ ガイシュン 香港出身。2009年に来日し、現在は都内IT企業セブンコードにデザイナーとして勤務している。本業以外にも、英語・中国語の通訳や雑誌コラムの執筆、海外貿易アドバイザーなど多岐にわたる分野で活動中。【Facebook】

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