1990年代初頭に全日本F3に参戦し、近年はツーリングカーレース委参戦していたスウェーデン人ドライバー、リカルド・リデルが引退を表明した。
1967年生まれのリデルは、1980年代後半からスウェーデンやイギリス、そして全日本と多くのF3シリーズに参戦。90年に4戦、92年~93年にはフルシーズンでトムスからオリジナルシャシーの032Fを駆り全日本F3を戦い、トム・クリステンセンや田中哲也、高木虎之介らとしのぎを削った。
リデル自身が2007年ル・マン24時間でのGT1クラス優勝とともに「特別な思い出」と語るのは、1992年マカオGPでの勝利。日本チームによるF3マカオGP初勝利であり、トムス/トヨタにとっても初勝利となった。91年はイギリスF3でトムスシャシーをドライブしており、トムスとゆかりの深いドライバーと言える。
1994年からはヨーロッパに戻ったが、以降は主にツーリングカーやGTカーレースを主戦場とした。特に、1990年代に多くのマニュファクチャラーが参戦し大激戦となったBTCCイギリスツーリングカー選手権ではボルボをドライブし、多くの勝利を飾っている。また、スカンジナビアン・ツーリングカー選手権(STCC)、WTCC世界ツーリングカー選手権でもシボレーやセアトを駆り活躍した。
しかし、リデルは2012年以降フルタイムでの活動がなくなり、フルタイムの参戦ができなかったため、引退を決めたと英autosport.comに語っている。
「僕は過去2年間、年に2~3レースを戦うだけだったんだ。フルシーズン戦うことができないならば、僕は引退しようと思っていたんだ」と昨年WTCCにスポット参戦していたリデル。
「過去20年間に渡ってメーカーとの契約があったことをすごく誇りに思うよ。多くのドライバーがそういうことをできるわけじゃないからね」
リデルは、英autosport.comから何か心残りはあるか? との質問に対し、次のように答えた。
「特にはないけどね。92年にマカオで勝った後、1993年にF1でジョーダンからオファーがあったんだ。だけど、それは持ち込みが前提のものだったし、当時スウェーデンではF1のテレビ放送がなかったので、可能性がなかったんだ」
「93年も日本に残ることに決めて、94年にはボルボからオファーをもらってイギリスに行った。それは僕にとっていい決断だったと思うよ」