WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに参戦しているポルシェは、2016年シーズンの開幕を前に、昨年のチャンピオンを獲得したポルシェ919ハイブリッドのエンジンを初公開した。
2014年、17年ぶりにル・マンの最高峰クラスに復帰したポルシェは昨年、ル・マン24時間で17回目の総合優勝を果たすとともに、8戦中6勝を挙げる圧倒的な戦績でドライバー/マニュファクチャラーの両タイトルを獲得。“耐久王”の完全復活を印象付けた。
そんなポルシェが投入しているのが、919ハイブリッドと名付けられたLMP1車両。リチウムイオンバッテリーを採用し、運動エネルギー回生システムとともに、熱エネルギー回生システムも搭載。エンジンはV型4気筒直噴ターボということが明かされていた。
ただしエンジンについては、イラストは公開されたことがあったものの、写真が公開されるのは今回が初。また、これまで公式には言及されてこなかったバンク角についても、90度であることが明かされた。
919ハイブリッドのテクニカルディレクターを務めるアレックス・ヒッチンガーはこのエンジンについて「当初から我々のコンセプトは果敢だったが、適切でもあった。それがいい結果につながっているんだ」と話す。また、919ハイブリッドは市販車と同じくバイザッハの研究開発センターで開発されており、パワートレインについては市販車のエンジニアたちとの連携していたのだという。
ポルシェは、16年も引き続き919ハイブリッドをLMP1クラスに投入。昨年のシャシー構造を流用しつつ、さらなる改良が施されることになるという。ただし、15年エンジンの最大出力は500馬力を超えていたということだが、16年に向けた燃費と燃料流量に関する規定が変更に。燃料は8%低減されるが、最高出力は500馬力を下回ることになるという。これは、ル・マン1周あたりのタイムで換算すると、約4秒の損失となるようだが、その他の部分での改善によりどこまでタイムが補われることになるか、ポルシェを始めとした各社の技術力が試されることになる。