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後輩の長所を伸ばすアドバイスの方法とは

2016年02月17日 00:02  オズモール

オズモール

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ちゃんと指導しているつもりなのに、同じミスを繰り返す後輩に、つい怒ってしまう。そんなとき、怒るのは嫌だけれど、これも指導だから仕方がない…と考えていない? でも、働く女性のアドバイザー的存在として多数の著書を執筆している有川真由美さんは「叱ることでは、指導の効果をあまり期待できません」と忠告する。

怒りを感じながら指導をすると、“後輩のため”という気持ち以上に“自分の考えを通したい”とか“自分の立場を守りたい”という自分本位の感情が上回りやすい。

「無意識のうちに自分が攻撃的な状態になっていることを、指導を受けている相手も感じ取るでしょう。そのため、注意を素直に受け入れることができず、改善しようという意志がなかなか芽生えないのです」(同)

後輩を指導するうえで大切なのは、相手の長所を引き出すように意識すること。まずは相手の自尊心を傷つけないことを心掛けて。そして、自ら反省し、改善策を考え、行動してもらえるようにアドバイをするべきとか。

「指導相手に自分の頭で考えさせると、次第に自分の長所を活かした仕事の仕方を掴むようになるでしょう。具体的には、次のポイントを押さえると、相手の長所を引き出す指導ができます」(同)


◆相手の価値観を受け入れる

「自分の価値観とは合わない」と感じると、無意識のうちにその相手と距離を置いてしまい、その人の長所を見つけにくくなる。しかし仕事では、同じような価値観の人間が集まるよりも、多様な価値観の人間が集まるほうが、高い相乗効果が期待できるもの。

「仕事や趣味など、相手が興味を持っていることや大切にしていることについて、話をよく聞いてみてください。すると、その人の価値観を作り上げている思考や行動のパターンが理解でき、相手のモチベーションを上げるように指導することができるようになります」(同)


◆できている点とできていない点を伝え、やり方は任せる

成果物を受け取る際には、できている点とできていない点を明白にフィードバックしよう。ただし、できていない点の改善策は細かく教えずに、後輩に自分で考えるように促して。このような指導を繰り返すと、次第に指示をしなくても自分で試行錯誤を繰り返すようになり、いずれは自分なりのやり方で成功をおさめられるようになるはず。

「後輩が失敗しないようにと、やり方まで細かく指示してしまうと、なにもかも指示されないとできない人になってしまいます。一見、回り道のようでも、自分で考える習慣をつけさせることが、その人の長所を引き出すためには最短距離となります」(同)


◆失敗したときは「ナイスチャレンジ」と声をかける

自分より経験が浅い後輩に、失敗せずに成果を出すよう求めるのは無理なこと。長い目で見守る覚悟で、失敗をしたときには非難やダメ出しばかりをせずに、「ナイスチャレンジ!」と励まして。

「失敗したときにダメ出しをすると、相手は失敗を恐れ、自分ができると確信がない仕事には積極的にチャレンジしなくなり、伸び悩んでしまいます。失敗しても、チャレンジしたことを賞賛してあげると、相手は『次こそは成功させよう』と思い、自ら積極的に失敗から学ぶようになるでしょう」(同)

後輩の長所を伸ばすことができれば、上司からの信頼も厚くなるはず。ステップアップを目指すなら、日頃の後輩指導の方法を見直して。




有川真由美
作家・写真家。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。44か国を旅し、旅エッセイも手がける。著書は『「働く女(ひと)」の77のルール』『いつも仕事がうまくいく女の41のリスト』(以上、PHP研究所)ほか多数。