メルセデスが、新車W07の排気音を聞ける動画を公開した。今季のF1ではエキゾーストレイアウトの規定変更により、サウンドの迫力が増すことが期待されている。
2014年に導入された1.6リッター、V6ターボ・ハイブリッドのパワーユニットは、以前のV8と比べて排気音が静かすぎるという強い不満があがっていた。これを受けて、FIAは今年からレギュレーションを変更し、タービンとウェイストゲートにそれぞれ独立した排気管を設けることを要求している。ウェイストゲートの排気管を1本とするか2本とするかは、チームの選択に任される。
テクニカルレギュレーション5.8.2項は、次のように定めている。「エンジンの排気システムは1つのタービンテールパイプ排気口と、1~2本のウェイストゲートテールパイプ排気口を持たなければならず、これらは全て後方に向けられ、かつ全ての排気ガスがこれらを通らなければならない」
「タービンから出る排気ガスは、その全てがタービンテールパイプのみを通らなければならず、ウェイストゲートからの排気ガスは、その全てがウェイストゲートテールパイプのみを通らなければならない。これらのテールパイプのいずれかを、他のテールパイプの内部に収めることは許可されない」
つまり、テールパイプの出口の数を増やすことで、F1マシンの発する音量を上げようというのがこの規定の狙いだ。
メルセデスが公開した短い動画には、2本のウェイストゲート排気口がはっきりと写っており、その音を聞く限り、今年のクルマの排気音がある程度は大きくなりそうだとの期待を抱かせてくれる。とはいえ、それが最終的に確かめられるのは、来週月曜日からバルセロナのカタルニア・サーキットで始まるテストになるだろう。
メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインのディレクターを務めるアンディ・コーウェルは、先日のメディアブリーフィングで、新しいエキゾーストレイアウトと排気音について次のように語っている。
「サウンドはF1にとって重要なもののひとつだ。今年はテールパイプがずっと後方まで伸びる。途中で切ったりすることは認められず、ウェイストゲートの排気口も後方へ伸ばした形になる」
「昨年までは、ウェイストゲートの排気をエンジンのテールパイプの中に出していた。だが、ウェイストゲートが開く時間はごくわずかで、開く時以外はテールパイプへの接続部分が行き止まりの筒状になっていた。ちょうどサイレンサーのようにだ。一般的なサイレンサーは、小さな穴をたくさん開けた排気管、外側を覆うジャケット、その間に詰めた消音材で構成されているが、それと同じ原理で行き止まりの部分が一種のサイレンサーになっていたんだ」
「ダイナモで測定しても、テールパイプから出る音は大きくなっている。実際にコースを走った時のサウンドに対して、どれほどの効果があるかはテストの時に分かるはずだ。ただ規定に従っただけではなく、良い音にするための工夫もしているからね」