2016年02月16日 11:12 弁護士ドットコム
ローソンは2月上旬、富山県内の加盟店の従業員が、買い物などの各種サービスで使える共通ポイント「Ponta(ポンタ)」を不正取得していたと発表した。従業員は、Pontaカードを持っていない客が精算するときに、自分のカードを使ってポイントを取得していた。店員はすでに退職しており、ローソンは調査したうえで、従業員のポイントを回収するという。
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同社によると、Pontaカードを使っていないのに、レシートにポイント残高が表示されたのを不審に思った客がツイッターに投稿。ツイートを見たほかのユーザーから問い合わせがあり、店舗で調査したところ、従業員が事実を認め、退職を申し出たため、受理した。
ローソン側は「不正行為」と表現しているが、今回のような手法でポイントを得ることは、犯罪ではないだろうか。本多貞雅弁護士に聞いた。
「今回のケースは、電気計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)という罪にあたる可能性があります」
本多弁護士はこのように指摘する。
「電子計算機(今回のケースでいえばコンビニの多機能レジスター)に、真実に反する情報を与えて財産権を得たり、財産権の変更に関する不実の電磁的記録を作って、財産上不法の利益を得た場合に、この犯罪が成立します。
Pontaカードを始めとしたポイントカードは多種多様に発行されていますが、その多くは、商品等を購入する際に、提示されたポイントカードを読み取ってポイントを加算し、加算されたポイントは商品代金の一部に充当できるなどといったシステムになっています。
Pontaカードのように、ポイントカードの使用が『名義人』のみに限られていて、第三者への貸与が禁止されている場合、ポイント加算の対象となるのは、ポイントカードの名義人による商品購入等に限られます。
ですから、ある人が商品を購入する際に、他人のポイントカードにポイントを加算することは、本来ポイントという『財産権』を得ることができない人(今回のケースでは店員)が、あたかも自分が買い物したかのような『不実の電磁的記録』を作り出すことになるのです。
このように不正にポイントが取得された場合、ポイント発行会社は不正な手段によってポイントを発行させられ、その分の損害が生じていますから、被害者はポイント発行会社になります。
なお、今回の報道のケースと異なり、商品購入者が他人のポイントカードへの加算を了承していた場合でも、ポイント発行会社との関係では電気計算機使用詐欺罪にあたりうるので、注意が必要です」
本多弁護士はこのように分析していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
本多 貞雅(ほんだ・さだまさ)弁護士
東京弁護士会所属。刑事事件、少年事件、外国人の入管事件に精力的に取り組み、法科大学院等では後進の指導にもあたっている。また、保険会社勤務や不動産会社経営の経験を生かし、企業法務にも力を入れている。
事務所名:本多総合法律事務所
事務所URL:http://honda-partners.jp/