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育休から復帰したけど「仕事マジつらい」 定時で終わらず「保育園の延長料金」が家計を圧迫

2016年02月14日 10:40  キャリコネニュース

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ワーキングマザー最大の悩みは、育児と仕事の両立だ。首尾よく育児休業を取って職場に戻っても、以前と同じように働けない場合も少なくない。復職後に部署を異動せざるをえず、新しい仕事を一から覚えなくてはならないこともある。

はてな匿名ダイアリーには、「育休から復職したんだけど仕事マジつらい」と題した投稿が寄せられている。投稿者の女性は、出産前はイベント企画の課に所属していたが、残業や土日出勤があって「保育園の子どもがいると無理」となり、復職にあたって、事務系の課に異動することとなった。

事務職への異動で「ボーナスの査定」も激減

「仕事自体はそれなりに面白い」と言うものの、事務の仕事は種類や量が多く、ミスを減らそうと努力すると人の3倍の時間がかかってしまう。残業はないという話だったが定時で仕事が終わらず、「保育園の延長料金が家計を圧迫している」状況なのだという。

給与の面でも影響があった。前の部署ではボーナスの査定が上の方だったが、復職後は「今まで見たこともない低評価」。月給の半分が保育料で消えており、ボーナスで子どもの学費の貯金をしたかったが、ほとんどできなかったとのことだ。

仕事に時間がかかるのは、不慣れなためか不向きなためかは分からないが、女性は「前の課に戻りたい」と強く望んでいる。しかし状況的には難しく、諦めざるを得ない。

「でも保育園は19時までしか延長できないし、土日はやってない。夫は平日は終電帰りで土日もいないことが多い。実家は遠いため、やはり前の課に戻るのは無理だと思う。つらい」

育児休業の復職後に、仕事の意欲はどう変わるのか。エン・ジャパンが発表した「ワーママの就業意識調査」によると、回答者の82%は「意欲が上がった」「変わらず高い」「変わらず普通」としているが、16%の人が「意欲が下がってしまった」と明かしている。

影響を及ぼしたものの上位は「周囲からの評価」(46%)、「職場の人間関係」(42%)、「会社からの期待」(35%)、「業務内容が変わったこと」(34%)で、いずれも意欲が上がった人よりも影響度が高い。

やっぱり「多くを望み過ぎ、欲張りすぎ」なのか

厚生労働省の「2014年度雇用基本均等調査」によると、在職中に出産した女性の育休取得率は1998年度からの17年で、49.1%から86.6%に伸びている。しかし取得者の中には、復職後の仕事に満足できない人もいるということだ。

厚労省の指針には、事業主の講ずべき措置として「育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること」とされている。しかし前述のブログのように残業や土日出勤ができない場合には、この「原職復帰の原則」が守られない。女性の投稿に対しても、

「『育児と仕事の両立』なんてのは基本的に不可能なんだよなあ。男だろうと女だろうと。まずはそれはそういうものだとして諦めるところからでは」
「つまり、多くを望み過ぎ、欲張りすぎっていう部分があると思う。一旦あきらめて、風向きが変わるのを耐えて待つというのも、一つの方法論だと思うんだけどね」

といった意見も寄せられている。

結局、女性のキャリアは断絶するかもしれないが、ここで退職すれば保育料がかからない分、家計が改善される部分もあるかもしれない。女性が前の部署で有能だったことをあげて「もがいてるうちに、何か突破口が見つかる事を願います」と励ます声もあった。

「連日終電帰りの夫」の働き方を変える提案はなし

それにしても、育児と仕事の両立が不可能な社会では、女性個人としての自立や自己実現の道は絶たれてしまい、将来の世帯収入も大幅に減ってしまう。女性に過剰な犠牲を求める社会では、少子化は止まらないだろう。

周囲の対応もなかなか難しい。ハラスメントの自覚がないまま、女性を非出世コースの「マミートラック」に追いやってしまう上司のことを、2015年11月16日号の「AERA」は「スポイル上司」として問題視している。

「夫や子どもがいる女性には業務の負担を軽くしてあげよう」「子育て中に責任ある仕事を任せるのは酷だ」といった間違った配慮によって、女性を甘やかして昇進・昇格ややりがいを阻害する上司を、そのように呼ぶのだという。

なお前述のブログに対しては、女性の負担を軽くするために「連日終電帰りの夫」の働き方を変えたり、育児休業を取得したりする選択肢もあるはずだが、そのような指摘をする人はいなかった。

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