2016年02月14日 10:31 弁護士ドットコム
かつて借金をしたときに連帯保証人になってくれた後輩が、最近になって突然訪れ、「こうなったのは全てお前のせいだ。せめてお前が払うべきだった借金額を慰謝料として払え!」と恨みをぶつけられたーー。そんな男性の「告白」がネットの掲示板に投稿された。
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その投稿によると、男性は大学生のとき、パチスロで50万円の借金ができてしまったため、一発逆転のために、無理やり頼み込んで、後輩に連帯保証人になってもらい、お金を調達したという。
しかし、借金は数百万円に膨らみ、男性は逃亡した。そのため、取り立て屋が後輩のところに押しかける結果となった。後輩はストレスから退学して、その後、自己破産。さらに、後輩の親の職場にも取り立て屋がきたため、親は退職。後輩の姉や兄も離婚や婚約破棄になってしまったそうだ。
十数年ぶりに再会した後輩は借金の返済を求めているが、男性は「借金の時効はとっくに過ぎている」と払うつもりはないようだ。このようなケースの場合、借金を返済する必要はないのだろうか。山川典孝弁護士に聞いた。
「今回のケースで、投稿者の男性は、後輩から借金額相当の慰謝料を支払えと請求されているようですが、結論から言えば、男性は基本的に、そのような慰謝料を支払う必要はありません」
山川弁護士はこのように説明する。なぜだろうか。
「投稿によれば、後輩は、男性から頼まれたとはいえ、自ら連帯保証人となることに承諾しています。後輩は、自ら連帯保証人となることに承諾した以上、債権者から請求を受けて結果的に自己破産に追い込まれたとしても、自己責任ですので、男性に慰謝料を請求することはできません。
また、後輩の親は退職、きょうだいが離婚や婚約破棄に追い込まれてしまったという点についても、詳細は分かりませんが、男性が後輩に保証を委託したことと、親族の退職、離婚、婚約破棄といったこととの間には因果関係があるとはいえませんので、男性に対する金銭的な請求が認められるとは考えにくいです。
なお、後輩が男性の債務を返済していた場合、後輩には、男性に対する『求償権』が発生しますが、求償権の時効は民法上10年とされているので、返済から10年を経過していれば、男性は後輩から請求を受けても、支払う必要はありません」
山川弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山川 典孝(やまかわ・のりたか)弁護士
取扱業務:後見関連業務のほか、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)、労働問題(残業代、不当解雇、パワハラ)、債権回収、交通事故、立退き、消費者問題、行政訴訟、離婚、遺産分割、遺言、刑事など幅広く取り扱っております。
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