2016年02月14日 09:52 弁護士ドットコム
「うどん県民のティファールの使い方」として、調理器具ブランド・ティファール(T-fal)の電気ケトルで「冷凍うどん」をゆでる方法を紹介するツイートが話題となった。水を入れた電気ケトルに冷凍うどんを入れてスイッチをいれ、沸騰させて湯切りするという方法だ。
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この方法については、「画期的」「天才か」と賞賛する声もあったが、本来の使い方ではないことから、故障や火傷の危険性を指摘する声もあった。ティファールのウェブページには、「水以外のものをケトルの中に入れないでください」という注意書きがある。
もし、こうした方法でうどんを作った消費者が、機械の故障ややけどといった被害を被った場合、企業側が補償をしなければならない可能性はあるのだろうか。消費者問題に詳しい上田孝治弁護士に聞いた。
「製品の使用により人の身体などに損害が生じた場合、製造物責任法に基づき、メーカーが損害賠償責任を負うことがあります。そのためには、製品に『欠陥』があることが必要になります。
製造物責任法の定める『欠陥』とは、製造物の特性や通常予見される使用形態などを考慮して、『製造物が通常有すべき安全性』を欠いていることです」
電気ケトルでうどんをゆでることは、「通常予見される使用形態」の範囲に含まれるのか。
「電気ケトルが通常想定している使用方法は、水を入れてお湯を沸かすということになるでしょう。また、メーカーから、水以外のものをケトルに入れないようにと注意もされています。
したがって、電気ケトルでうどんをゆでるのは、通常とは著しく異なる使用方法といえるでしょう。
そのため、そうした使用方法で、やけどなど何らかの損害が生じたとしても、『欠陥』により発生した損害にはあたらないでしょう。
メーカーには、製造物責任法に基づく損害賠償責任が発生しないことになります」
「また、うどんをゆでて電気ケトルが故障した場合についても、電気ケトルの特殊な使用を原因として生じた故障ですので、電気ケトル自体の何らかの要因に基づくものとは通常言えません。ですから、メーカー側が補償義務を負うことにはなりません。
通常の用法とは著しく異なる方法で製品を使用した結果生じた損害についてまで、メーカー側に予想して対策をとるように求めることは無理な話です。メーカーが責任を負う可能性は小さいでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行うとともに、中小企業診断士として企業の経営コンサルタント業務も行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:http://www.kobe-sakigake.net/