2016年02月13日 10:51 弁護士ドットコム
離れて暮らす子どもに対してだけでなく、老いた親に仕送りなど援助をする人もいるだろう。「同居の年金暮らしの母に毎月生活費を渡したいと思っています」という人から、税理士ドットコムに相談が寄せられた。
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相談者の父親はすでに亡く、70歳の母と同居している。母親は国民年金を受給しているが、それでは足りないため、生活費として月々12~15万円を毎月、現金の手渡しで与えることを相談者は検討している。この場合、およそ年間で180万円程度になるとみられるが、「贈与税はかかるのでしょうか?」と質問する。
親に援助をする場合、贈与税はかかるのだろうか。「贈与税」がかかってしまう「親への援助」とはどのようなものなのか。内山 瑛税理士に聞いた。
「相続税法24条の3に、贈与税の非課税財産について定められています。
そのなかで、『扶養義務者相互間において生活費または教育費等に充てるために贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの』と規定されています。つまり、扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹など)に対する通常の仕送りの範囲内であれば、贈与税が課税されることはありません」
「通常の仕送りの範囲」とは、どのような場合を想定しているのだろうか。
「前述したように、『生活費または教育費等にあてるため』かつ『通常必要と認められるもの』となります。贈与税が課税されない親への仕送り額とは、『生活費として必要と認められる金額』と考えてみてください。
そのため、貯蓄や投資目的で親に仕送りをした場合など、明らかに高額な仕送りをした場合などは、贈与税が課税される可能性があります。あくまで、通常の生活を送るために必要な常識的な金額でなければなりません」
相談を寄せた人が予定する「年間180万円」という金額は「通常の仕送りの範囲」になるのか。
「ご相談者のケースでは、年金は国民年金のみで、生活費にあてるためとのことなので、年間180万円という金額は、『通常の仕送りの範囲』と考えられるかとは思います。
しかし、いくらが常識的な範囲かというのは、その家庭の生活水準や仕送りをする側、される側の生活状況によっても判断が変わってきます。心配であれば、専門家に相談してみるのもよいかもしれません。
最後になりますが、仕送りや援助で注意点が1つあります。毎月あるいは隔月など、必要な都度する必要がある点です。将来○年分など、一括で贈与すると、貯蓄用の贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があります」
【取材協力税理士】
内山 瑛 (うちやま・あきら)税理士
私たちは「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様の総合的なサポートをさせていただいております。 「親身に」「誠実に」「迅速に」対応することが会計事務所の責務であるとの信念のもと、お客様の利益のため、精一杯貢献させていただきます。
事務所名 :内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所
事務所URL:http://www.uchi-zeirishi.com
(弁護士ドットコムニュース)