マノー・レーシングは今季のF1でパスカル・ウェーレインをチームに迎えることを正式発表した。契約に付帯する条件のひとつとして、マノーはメルセデスの風洞施設を利用できるようになると英国オートスポーツが報じている。
2015年はメルセデスのリザーブドライバーを務めていたウェーレインは、1年契約でマノーに加わる。この契約はグリッド最後尾が定位置となっている彼らに500~600万ユーロ(およそ6億~7.5億円)相当の価値をもたらすものだ。
今年マノーは最新仕様のメルセデス製パワーユニットを使用するが、ウェーレインの加入は供給契約とは完全に切り離されているという。むしろマノーにとって重要なのは、ウェーレインとの契約によりブラックレーにあるメルセデスの50%風洞を使う権利が与えられ、シーズン中の空力開発に利用できるようになることだ。
「マノー・レーシングは、僕がF1でのキャリアを始めるには最適なチームだ。このチームに入ることができて、とてもうれしい」と、ウェーレインは語っている。
「僕の『レース界の家族』であるメルセデス・ベンツの人々、特に僕のキャリアをここまで導き、この機会を与えてくれたトト(ウォルフ)にお礼を言いたい。夢の実現を助けてくれた素晴らしいサポートに感謝している。このチャンスをしっかりつかみ、コースでパフォーマンスを発揮することが、僕のこれからの仕事だ」
21歳のドイツ人、ウェーレインは、昨年DTMで史上最年少チャンピオンに輝き、F1でのカーナンバーも、そのときと同じ「94」を選んだ。また、引き続きメルセデスのリザーブドライバーも兼務することになる。
2014年9月にルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのバックアップドライバーに指名され、すでに何度かメルセデスのF1マシンを走らせている。ハミルトンかロズベルグがグランプリの週末にドライブできなくなった場合、メルセデスはウェーレインをチームに呼び戻せることになっているようだ。ただしマノーへの影響を考慮して、本番直前の召還は行われない。
そうした可能性を見越して、メルセデスは昨年11月に契約を更新した育成ドライバーのエステバン・オコンをキープしている。先週ルノーから正式に発表されたとおり、オコンは「レンタル契約」でルノーのリザーブドライバーを務めるが、DTMではウェーレインが乗っていたメルセデスのシートを引き継ぐものと見られる。
ウェーレインとともに迎える新たなシーズンについて、マノーのオーナーであるフィッツパトリックは、こう語っている。
「パスカルは、とても賢いドライバーで前途はきわめて有望だ。彼を迎えることになってマノー・レーシングの誰もが期待に胸を躍らせている」
「我々は小さなチームだが、今季は大きなチャレンジに向けて意気込んでいる。チームが目指す成績に見合うだけの才能と意欲を持ったドライバーを選んだ理由もそこにある。パスカルはメルセデスやフォース・インディアでのテストで鮮烈な印象を残し、昨年はDTMでも堂々たるパフォーマンスでタイトルを勝ち取った。マノー・レーシングは、パスカルがデビューシーズンから強く人々の印象に残る働きをしてみせる場所として理想的だ。我々も楽しみにしている」