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“自力で温める”ことで、氷点下でのパフォーマンス低下を防ぐ新式バッテリーがスゴイ

2016年02月11日 07:01  Techable

Techable

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スマートフォンから電気自動車、果ては宇宙開発機器まで、現代技術に欠かせないリチウムイオンバッテリー。しかし、発熱による過熱や着火する危険性が常に付きまとう。

一方、低気温の環境でも、バッテリーのロスが大きい点、パフォーマンスが低下する点など、問題が多くある。

特に電気自動車は、氷点下の気温だと“回生ブレーキ”機構に影響が及び、充電スピードが遅くなり、走行可能距離は最大40%も低下してしまうという。
・氷点下でもパフォーマンスを保つ“自力で温めるバッテリー”
そんな状況を何とか解決しようと、Guangsheng Zhang氏らが所属するペンシルベニア州立大学の研究チームでは、低気温下でもパフォーマンスが低下しないよう、“自力で温めるバッテリー”を開発している。

チームでは、リチウムイオンバッテリーの一方の端からマイナス端子部分まで、ニッケル箔を貼り付けた。統合された温度センサーは、ニッケル箔を通じて電流の経路変更をおこなう。

“抵抗加熱”によって内部からバッテリーを温めつつ、最後には冷たい外気温へと熱が逃がされるようになっている。つまりスイッチがオフになることで熱が必要以上に留まらないため、バッテリーが安定して機能するように、常に状態を保てるというわけだ。
・バッテリーロスを減らし、効率アップ
実験では、マイナス20~0度下では20秒以内に、マイナス30~0度下では30秒以内に温めることができた。それぞれバッテリー放電容量の消費は、3.8、5.5%に留まったという。これまでの40%のロスと比較すると、偉大な実績といえるだろう。
・コストも重さも、従来品とあまり変わらない
しかもこの新たな電池は、既存のリチウムイオンバッテリーと比べても、重さはわずか1.5%増、コストは0.04%増に抑えられるというのもアドバンテージ。

耐低温の改良バッテリーは、冬季に気温が下がる地域の生活や、宇宙開発など最先端技術の発展にも、大いに貢献してくれることだろう。

Pennsylvania State University