レッドブルのテクニカルボスであるエイドリアン・ニューエイが、パワーユニットに関する規則が変更されてもマニュファクチャラーのワークスチームが圧倒的に有利であることは変わらず、カスタマーチームがそれに勝つのは難しいと語った。
2014年、F1に1.6リッターV6ターボハイブリッドシステムが導入されて以来、カスタマーチームが負担するエンジン価格が跳ね上がり、財政が逼迫している。この問題と、チームへの供給が保証されていないことを懸念したFIAは、パワーユニットマニュファクチャラーに対して対策法を提出するよう求めた。
メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダの4社は、パワーユニットの供給価格を1シーズン1チームあたり現在の2,000~2,500万ユーロから1,200万ユーロに引き下げること、また全チームにパワーユニットを供給することを保証することを決めた。これをFIAが受け入れ、この対策案と引き換えに、1.6リッターV6ターボハイブリッドシステムは少なくとも2020年末までは維持され、別仕様の安価なインディペンデントエンジン導入はなくなったものと考えられている。
この規則がカスタマーチームにとってメリットになるのは明らかだが、ワークスチームが圧倒的に有利であるという点は変わらないとしてニューエイは問題視している。
メルセデスは自身のチーム含め4チーム、フェラーリも4チーム、今年からワークス参戦するルノーは2チームに供給、ホンダのみがマクラーレンに独占的にパワーユニットを提供している。
マクラーレンのCEOロン・デニスは、メルセデスからホンダにスイッチした理由に関し、現在のF1ではカスタマーチームがタイトルを獲得するのは不可能であり、パワーユニットマニュファクチャラーとのワークス契約が必須だと、繰り返し述べている。
「レギュレーションの下、マニュファクチャラーは他のチームに同一のハードウェアを供給しなければならない。だが同一のソフトウェア、つまり同じパフォーマンスを提供する義務はないのだ。この点に私は非常に疑問を持っている」とニューエイはロイターに対して語った。
「だがこれについて誰も不満を表していない。契約で許されていないためカスタマーチームは不満を言うことができないのだ」
しかしニューエイは、レッドブルのパートナーであるルノーだけは例外で、カスタマーチームにもソフトウェアを含めあらゆる面においてワークスチームと同じエンジンを提供してきたと述べている。
今の契約期間は今年末までであるとしながらも、両者がパートナーシップを来年以降も継続する可能性はあるともニューエイは認めた。レッドブルとルノーは昨年関係が悪化し、契約終了について協議した。しかしレッドブルは新たなエンジンパートナーを見つけることができず、結局ルノーと新たな契約を結び、タグ・ホイヤーブランドでそのPUを使用することを決めた。