FIA会長のジャン・トッドは、メルセデスにはさらなる挑戦が必要だとしながらも、同チームが一強状態であるとの批判は「まったく不公平」であると考えている。
メルセデスはこの2シーズンでは38戦中32戦で優勝し、コンストラクターズタイトルとドライバーズタイトルを2年連続で獲得している。トッドはこの状態がF1に与える影響、フェラーリが支配した2000年~2004年までの時代の再現になることを懸念している。
トッドは「レースごとに異なる優勝者が出てくるようになればもっと嬉しいが、そうはならないだろう」と英国オートスポーツに語る。
「モータースポーツだけではなく、サッカー、テニス、陸上競技、ラグビーでも同じことが起きているのだから、1チームによる優勢は競技の一要素として受け入れるべきだ。どの競技にもあることなのに、なぜモータースポーツでは一強状態にならないことを期待するんだ? この状況にまつわる否定的な意見はまったくもって不公平だが、建設的な批判であれば受け入れる」
「もちろん満足はしていない。挑戦があればなお良いし、会議室ではどのようにして状況を改善できるかに取り組んでいる。けれども自分たちを批判ための会議をする必要はない」
チームの利己的な考えを改めさせるためにはFIAが、再び唯一の規制機関かつ運営組織となり、ストラテジー・グループのような組織は解体すべきであると、F1の数多くの関係者が昨シーズンに提案をしていた。トッドはこの動きを歓迎していたが、新たなコンコルド協定が締結されない限りこの提案が実現しないことも認識しており、またチーム側が受け入れるかどうかにも疑問を抱いていた。
トッドは「ここ数年間、FIAはそれほどの権力も統治能力も有してこなかった。商業権保有者が持つ特定の権限、チーム、それに運営組織は、署名済みのコンコルド協定によって統治されているので、新しいやり方をすることになる。これを踏まえてFIA会長として言うと、すべての規制権限や立法権限がFIAに渡ったとしても何も問題はない。しかしそうなると、我々は新たなコンコルド協定を結ぶ必要がある。それだけの単純なことだ。それで全員が満足するのであれば、私も喜んで従おう。けれどもそうはならないだろう」と語り、現在のF1が抱える問題の解決は簡単ではないことを主張した。