ルノー・スポールF1チームのエンジンテクニカルディレクター、レミ・タファンは、前身ロータスF1チームが現在最強のメルセデスのパワーユニットを搭載した経験が今季の進歩に役立つことはないだろうと語った。
今年からF1ワークス活動を再開するため、ルノーはロータスF1チームを買い戻した。ロータスは長年使用してきたルノーエンジンに代え、2015年はメルセデスのパワーユニットを載せ、わずか10ポイントの2014年に比べ、昨年は78ポイントを獲得した。
しかしルノーのワークスチームとして参戦する今年、チームは再びルノーのパワーユニットを搭載することになる。ルノーは2014年、F1に新パワーユニットが導入されて以来苦戦し、メルセデスやフェラーリと戦えるだけのパフォーマンスを発揮できていない。
一方メルセデスは新エンジン規則において圧倒的強さを発揮し続けている。しかしそのパワーユニットを1年積んだことが開発面に役立つのではないかとの推測を、タファンは否定した。
「ドライバーにしても、エンジニアにしても、シャシーへのエンジンのパッケージングの仕方に関して、何らかの経験をフィードバックしてくれるのは役立つ」とタファンが述べたとF1iが伝えた。
「しかし正直言って、スタッフは皆プロだ。(パワーユニットサプライヤーがチームに)データを知らせるようなことはない。だから図面や数値といったものを持っているわけではないのだ。あればいいだろうがね」
「つまり(昨年の経験が)我々を望む状況に導いてくれるようなことはないだろう」
タファンは、ルノーが今年から驚くようないい結果を出せるとは考えていないが、2017年の改善を目標に着実に前進していくことを目指すと語った。
「去年(メルセデスより)1秒遅かったとすると、0.3秒あるいは0.4秒は挽回できるんじゃないかな。ただもちろんテストや実際のレースで状況を見てみる必要がある」
「段階的なプログラムを2017年に向けて組んでいる。2016年には謙虚な姿勢で臨まなければならない。レースをしっかり完走し、少しずつ速くなっていきたい。自分たちの戦略をどのように展開していくのか、これから見ていくわけだが、あくまでもこのプログラムは来年を想定したものだ」
2016年序盤に使用するパワーユニットは昨シーズン終盤の仕様とあまり変わらないものであると、タファンは明かした。
「基本的に昨年終盤の仕様を開発していく。開発を続けていき、主にICEとターボが改善していくだろう」
「ERSシステムはコントロールできており、望んでいた状態にある。だから集中すべきエリアはここではない」
2015年、パワーユニットマニュファクチャラーはシーズン中の開発をある程度許されていたが、ルノーは大型アップグレードをシーズン終盤に導入、レッドブルがブラジルGPで初めて走らせたが、大きなパフォーマンス向上は見られなかった。
ルノーは今年は体制を整える1年とみなしており、来シーズン以降のベースを今年しっかり築き上げることを目指している。