7日、オーストラリアのマウントパノラマ・サーキットで『バサースト12時間レース』が開催され、ポールポジションからスタートしたシェイン・バン・ギスバーゲン/アルバロ・パレンテ/ジョナソン・ウェッブ組59号車マクラーレン650Sが優勝した。昨年王者の千代勝正/リック・ケリー/フローリアン・シュトラウス組1号車ニッサンGT-RニスモGT-Rは、終盤追い上げをみせたものの、わずか1.2秒届かず2位となり、2連覇は叶わなかった。
オーストラリアのマウントパノラマで1991年から開催されているバサースト12時間は、近年GT3カーをトップカテゴリーとして争われており、ヨーロッパからもエントリーのある一戦。昨年は、ニスモ・グローバルアスリートチームの千代/ウォルフガング・ライプ/シュトラウス組ニッサンGT-RニスモGT3が残り2周で首位を奪い、ニッサンに劇的な逆転勝利をもたらした。そのニッサンは、今年もニスモ・グローバルアスリートチームとして、カーナンバー1をつけたGT-RニスモGT3でレースに参戦。ドライバーには、千代/シュトラウスのふたりに加え、オーストラリアV8スーパーカーシリーズでチャンピオン獲得経験をもつケリーを起用している。
6日に行われた予選では、ケリーがアタックを担当。しかし、予想より気温が上がらずグリップの確保に苦戦。昨年のタイムより2秒以上速いタイムを記録したものの13番手と後方に沈んでしまった。
迎えた決勝レースでは、ケリーがスタートドライバーを担当。5時45分の決勝スタート直後から次々とオーバーテイクをみせトップ集団に加わると、その後はライバルたちと数秒差でポジションを入れ替える激しいバトルを展開した。その後、ステアリングを引き継いだシュトラウスも一時首位に浮上する活躍をみせた。
レース終盤、再びチェッカーまでのドライブを担当することとなった千代は予選を上回るペースで周回。マシンの片側2輪をダートへ落としながらライバルをオーバーテイクするなど圧巻の走りをみせる。そして、2番手以下に対し40秒のギャップを築いたところで最後のピットイン。給油のみでコースへ復帰したが、59号車マクラーレンに15秒の先行を許し、最後の1時間を迎えた。
千代は周回を重ねるごとにギャップを削る粘りの走りで、ファイナルラップではマクラーレンのすぐ後方まで迫ったものの、順位を入れ替えることは叶わず。わずか1.276秒差の2位でチェッカーを受けた。3位はガイ・スミス/スティーブン・ケイン/マット・ベル組10号車ベントレー・コンチネンタルGT3が獲得している。
優勝したバン・ギスバーゲンは「マシンは週末を通して最速だった。僕たちはマシンの性能を引き出しただけだよ」とコメントしている。
「後方からニッサン(GT-RニスモGT3)が迫っているのは分かっていた。毎周ギャップを聞きながら、走っていたよ。ポジションを守り切ることができて嬉しいね」
惜しくも連覇を逃した千代は、ニスモの公式サイトで「昨日は(GT-Rは)最速のマシンではありませんでしたが、今日はとてもいいレースができました」と語っている。
「クルマは最高でしたし、チームも素晴らしい仕事をしてくれました。チームスタッフ、二人のドライバー、みんなが最高のメンバーです。あと数周欲しかったですね。トップに追いつこうとプッシュしましたが、遅いクルマに引っかかると、ここでは抜くのに大きなリスクが伴います。2連勝を目指していましたが、バサーストは簡単ではないですね」
「今年はセーフティーカーがあまり導入されなかったし、トラフィックも少なかったので、本当にスプリントのようなレースになり厳しい戦いでした。来年、また戻って来たいと思います」
また、ニスモ・グローバルアスリートチームを率いた田中利和チーム代表は「ドライバー順も戦略にも間違いはなかったと思います。1.2秒差の2位は悔しいですが、チームの全員が仕事をやりきった爽快感を味わっています。チャンスがあれば、またこのチームで勝利を目指したいと思います。応援していたただいた皆さん、本当にありがとうございました」とニスモHPに語った。