映画『マンガをはみだした男―赤塚不二夫』が、ゴールデンウィークから東京・ポレポレ東中野、下北沢トリウッドほか全国で公開される。
赤塚不二夫の生誕80周年を記念して制作された同作は、赤塚の肉声と複数の視点から赤塚の多面性を浮き彫りにするドキュメンタリー。赤塚の漫画『レッツラゴン』のキャラクターを案内役に据え、関係者へのインタビューや残された写真、プライベート映像、テレビ番組などの映像とアニメーションを融合させた作品となる。
赤塚を知る関係者として登場するのは、娘の赤塚りえ子や漫画の担当編集者をはじめ、石ノ森章太郎、園山俊二、ちばてつや、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、荒木経惟、坂田明、篠原有司男、田名網敬一、タモリ、若松孝二ら50人超。
監督は『ローリング』などの冨永昌敬が務め、ナレーションを青葉市子、音楽をU-zhaanと蓮沼執太が担当。また2Dアニメーション演出を室井オレンジ、3Dアニメーション制作をアニマロイド、パンフレットなどのビジュアルデザインを本編にも出演している祖父江慎が手掛ける。
主題歌はU-zhaanが作曲し、タモリがボーカルを務める楽曲“ラーガ・バガヴァット”。タモリが付けたという同曲のタイトルは、インド音楽の旋法である「ラーガ」と、バカボンの語源になったとされる言葉で、サンスクリット語で「聖者」を意味する「バガヴァット」からとられている。
冨永監督は同作の制作を振り返り、「今作の取材で、僕は『天才』赤塚不二夫その人に会うことができなかった。面会を断られたわけではない。赤塚さんが故人だから会えなかったのだ。これまで通りの僕なら、本人に会わない限り天才だなんて信じられなかったはずである。しかしよくわかった。もうわかりましたよ。天才は言葉を生むのだ。本人が喋ったり書いたりしたことではない。今もって他人に語らせる愛の言葉のことだ。本当にたくさんの人から素敵な言葉を聞いた」とコメントしている。