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卒業ソングの新定番となるか? WHITE JAM「咲かないで」が1万人に唄われたワケ

2016年02月03日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

WHITE JAM『咲かないで』

 間もなくやってくる卒業シーズン。毎年さまざまな卒業ソングで賑わうこの時期だが、今後の新定番となりそうなのが、WHITE JAMの「咲かないで」。2015年11月のオンエア開始以降リリースが待たれていた同曲が、2月3日よりiTunesとレコチョクで先行配信を開始、24日にはいよいよCDで発売となる。


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 メディア等への露出は少ないながらも、じわじわと人気を拡大できた背景には、中高生を中心とした若者からの圧倒的な支持がある。たとえば、離れた場所にいてもカラオケでコラボができるアプリ『nana』で、「咲かないで」を10,000人で歌唱するという企画を行った際には、学校のクラスメイト同士や成人式に集った仲間などの若い世代がこれに反応し、わずか2カ月で目標を達成。参加者の歌声は記念として、CDに収録されることも決定した。また、渋谷の女子高生がスニークプレビュー方式で視聴し、最も気に入った曲を選ぶ『Kurukoreランキング』でも、WHITE JAMが2016年最初の1位を獲得。「卒業式で聴いたら感動する」「切なくて泣ける」などのコメントから、“卒業”を意識する世代にしっかり届くことも証明された。


 一方で、二次創作的な広がりも若者世代への浸透に一役買っているようだ。昨今、女子高生の間で流行中の楽曲の歌詞を漫画にしてSNS上で公開する“歌詞漫画”にもいち早く取り上げられ、漫画経由で楽曲を知る人が増加しているほか、動画投稿アプリ『MIX CHANNEL』内で人気の双子ダンスデュオ「まこみな」が、楽曲をテーマにした“お別れダンス”をアップし、大反響を巻き起こしていることなどがいい例。リリースが間近に迫り、こういった動きもさらに活性化することは間違いない。


 WHITE JAMは、メインボーカルのSHIROSE、女性ボーカルのNIKKI、ラップのGASHIMAの3人によるユニット。2014年にメジャーデビュー後、着実にファンを広げ、前作でもある3rdシングル『ウソツキ』は、iTunes総合アルバム・チャートで堂々の1位を獲得。実力派アーティストとしてのパワーを見せつけた。また、3人はそれぞれがプロデューサーとしても活動しており、特にSHIROSEは、AAAや東方神起ら有名アーティストへの楽曲提供も多数手がけている。「1,000万人が泣いた歌声、日本一のメロディーメーカー」というキャッチフレーズも伊達ではない。
 
 今作「咲かないで」は、ピアノとストリングスが彩る優しげなミドルチューン。サビで繰り返し歌われる「咲かないでよ 咲かないで」の一節しかり、別れを惜しむ心情をそのまま託した歌詞が、メロディと相まって耳に残る。同曲が10代の若い層に響いた一因にあるのも、おそらくこの歌詞。“黒板の落書き”や“集合写真”といった学校生活を彷彿させるワード、そして“卒業”という人生の節目へのセンチメンタルなイメージが、思春期の繊細な心を揺さぶり、共感を呼んだのではと考えられる。


 そんな、若い世代との親和性の高さゆえ「咲かないで」は、黒板にチョークのみでイラストを描くアート作品の全国大会『第1回 日学・黒板アート甲子園』の応援テーマソングにも決定。高知県立高知西高校の「かさぶたず」による制作風景を採用したMVも特別に制作され、素晴らしいコラボを見せている。


 タイアップやSNSでの拡散などさまざまな施策が功を奏し、ヒットへの布石を作り上げたWHITE JAMの「咲かないで」。今でこそ、中高生を中心としたブームとなっているが、リリース後の大量オンエア次第ではより幅広い世代へファン層を広げていける可能性も十分秘めている。果たして今年の卒業ソングの覇者となれるか、今後の動向に期待したい。(板橋不死子)