ホンダF1プロジェクトの新井康久総責任者は、苦戦した昨年、経験ある技術スタッフを外部から雇い入れるようマクラーレンから求められたが、ホンダの哲学に反するとして拒否したと語った。
マクラーレンのパワーユニットサプライヤーとして、ホンダは2015年、F1に復帰した。しかし複雑なテクノロジーをうまく機能させることができず、信頼性のトラブルとパフォーマンス不足に苦しむことになった。
新井総責任者は、2008年末でF1を撤退して以来長いブランクがあったことが苦戦した原因であると認めている。
「私たちは2008年でF1を去りました。長年離れていたことが経験の面で大きなマイナスになりました。F1は毎年毎年劇的に改善しているからです」と新井総責任者が述べたとMotorsport.comが伝えた。
「私たちは外から見ているだけでした。もちろん注意深く見ていましたが、F1内部でパワーユニットの変化がどのように起きているのか、分かりませんでした」
「それを知らなかったことによるギャップが大きく影響しました」
パートナーのマクラーレンは、早急に改善すべく他のエンジンマニュファクチャラーから経験あるスタッフを引き抜くなどして人的リソースを充実させるようホンダに求めたという。しかし人材は社内で育てるのがホンダの方針であるとして、マクラーレンの要望を断ったと、新井総責任者は明かした。
「去年の夏ごろ、私たちには十分な(開発のための)リソースがあるのかと彼ら(マクラーレン)から聞かれました。彼らは私たちがすべて自分自身でやっているのはなぜなのかを知りたがっていたのです」と新井総責任者がNikkei Asian Reviewのインタビューに対して答えたとSky Sportsが報じた。
「外部からスタッフを登用するよう求められました。彼らにとってはそれが当然のことなのです。ヨーロッパではスタッフの移動は頻繁に行われていますから」
「ですがホンダの哲学は違うと説明しました。人材を育成することが重要だと思っています。外部から連れてきたエンジニアが3カ月や半年程度でいなくなるようなことは、受け入れられません」
「私たちのF1チームに何人のスタッフが関わっているのかは明かしませんが、約半数はこの分野に初めて関与した人々です」
昨年末、ドイツのAuto Motor und Sportは、ホンダは方針を多少変えて、ライバルマニュファクチャラーとの性能差を縮めるためノウハウを持つコンサルタントを雇う意向であると伝えていた。