部下を従えてチームの統率をはかりながら、結果を出していく女性上司。「いつかあんな風になれたらいいかも」と、憧れる人も少なくないのでは? 働く女性のアドバイザー的存在として多数の著書を執筆している有川真由美さんによると、部下から慕われる上司に必要な資質のひとつに、“謙虚さ”が挙げられるのだそう。
「部下から信頼される上司であるためには、揺るぎない自信を持っていることが大切です。それは決して、“いつでも自分は絶対正しい”と考えている人のことではありません」(同)
本当に自信がある人は、自分の弱みや間違いを指摘されても、それを素直に受け入れ、改善を図れる“謙虚さ”を備えているもの。つまり、常に向上したいという意識を持っていることがリーダーの資質なのだとか。
「上司自らがそうした姿勢を見せると、部下の向上心を育てることもできるため、チーム全体が成長して、高い結果を出せるようになります」(同)
そんなリーダーを目指すために、まずは次の項目に心当たりがないか、チェックしてみて。
◆目上の相手と目下の相手で呼び方を変えていないか
“謙虚さ”の基本は“誰に対しても敬意を払うこと”。それがよく表れるのが名前の呼び方なのだそう。例えば、目上の相手を「●●さん」と呼ぶのに、目下の相手は呼び捨てや勝手につけたあだ名で呼んだり、「ハケンさん」「バイトさん」「新人さん」といった乱暴な呼び方をしたりするのは、相手に敬意を払っていないと周囲に思われる可能性が。
「会社とは、自分より年下の上司がいることもあれば、自分より年上の後輩がいることもあるものです。親しみを込めているつもりでも、相手が不快に感じることもあるでしょう。そのため、職場では基本的に『●●さん』と呼ぶようにし、『●●ちゃん』などの呼び方をする場合も、敬意を持って丁寧な言葉遣いをするよう気を付けるのが賢明です。そうすることで自然にほかにどんなことが敬意を示すことにつながるのか、気付けるようになると思います」(同)
◆後輩を指導するときに「なぜこれくらいのことができないの?」と思っていないか
後輩に仕事を教えても、なかなか覚えてもらえなかったり、ミスを繰り返されたりして、イライラしてしまった経験はない? 自分より経験の少ない後輩に新しいことを教える場合、最初からうまくできないのは仕方のないこと。
「イライラした態度で指導すると、後輩はプレッシャーに感じ、ますますミスをしてしまい、自分はさらにイライラする…という負のスパイラルを生みます。目下の人を指導するときには、“他人は必ずしも自分と同じことが同じようにできるとは限らない”ということを忘れずに。むしろ、“自分にはできないけれど、この人のほうが上手にできることもある”と考えて、相手の長所を見つける姿勢で接しましょう」(同)
また、“謙虚さ”とは、他人の意見を受け入れる寛容さのこと。間違いを素直に受け入れるだけではなく、褒められたときには素直にお礼を言うことを身に付けると、さらに他人の意見に耳を傾けることができるようになるはず。まずは後輩に慕われる先輩になるために、これらの改善策を取り入れて、少しずつ“謙虚さ”を身につけていこう。
有川真由美
作家・写真家。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。44か国を旅し、旅エッセイも手がける。著書は『「働く女(ひと)」の77のルール』『いつも仕事がうまくいく女の41のリスト』(以上、PHP研究所)ほか多数。