「仕事が多忙」ということを理由に独身時に卵子を凍結保存した女性が、結婚してその卵子を使って出産していたと各紙が報じている。がん治療など医学的な理由以外のケースが公になるのは、初めてとのこと。
この女性は実家の家計を支えるために看護師として働きながら、結婚の予定がないまま41歳から卵子の採取を始めた。その後、42歳で結婚。夫の協力を得て体外受精を行い、44歳で出産を果たしたということだ。
原千晶さん「若い女性は自分の身体をいまいちど考えて」
このニュースは新聞の一面を飾り、ネットにもツイッターなどでシェアする人が多くいたが、コメントを加える割合は低かった。どのように判断したらよいのか、迷った人が多かったのかもしれない。
現状では凍結卵子による妊娠の確率は低く、毎日新聞の記事によれば10%ほど。ある人は「今は難しくても、どんどん進歩していってほしいな」と医学の進歩に期待を示す。
その一方で別の人は「生物として不自然」といった違和感を表しており、技術とは別に「自分の生き方についてもいろんなことを考えちゃうよね」と投稿する人もいた。
このニュースはTOKYO MXの「モーニングCROSS」でも取り上げられた。国際弁護士の清原博氏は「代理出産に比べれば法律的な問題は少ない」としつつ、「若い頃に仕事と妊娠出産を両立させることができる社会環境を作ることが大事」とコメントした。
TBS「ひるおび!」では、コメンテーターとして出演している原千晶さんが、がんで子宮を摘出した経験を踏まえ、若い女性たちに対してこんなアドバイスを送った。
「自分の身体をいまいちど立ち戻って考え、元気な身体できちんと(条件が)整っていないと正常な出産ができないことを考えた方がいい」
米国では女性社員に「費用補助」する有名企業も
女性の卵子が「老化」することについては、2012年2月放送のNHKクローズアップ現代「産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~」という番組が制作され、話題になった。
番組では33歳の女性が「産める時期と仕事の時期が重なっちゃって。リミットが迫っているので」と、卵子の凍結に踏み切る様子を紹介していた。
米国では30代のビジネスウーマンの間で卵子凍結保存が流行しているという報道もある。2014年11月のワシントンポストによると、
「人生のパートナーにまだ出会っていないから」
「仕事が忙しいのでまだ子供は産めないが、将来は子供を産みたいから」
といった理由で卵子凍結を望む女性が増えているとのことだ。これを受けて、フェイスブックやアップルなどの有名企業が最高約240万円の費用補助を公表し、すでに補助を受けている女性もいるという。
米国のような動きは、日本でも起こるのだろうか。ちなみに冒頭の女性は、毎日新聞の取材に対し「自分も仕事と出産を両立できる環境に恵まれていたら、もっと早く産めたかも」と話しているという。
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