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「実印」のリスク・・・頻繁に使う人以外は「印鑑登録」しないほうがいいってホント?

2016年02月02日 12:42  弁護士ドットコム

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実印は、経営者など頻繁に使う人以外は登録しておかないほうがいい――。1月上旬、こんな内容のつぶやきがツイッターに投稿されて、話題になった。


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実印(じついん)とは、住民票のある市区町村の役所・役場に登録した印鑑のことだ。一般的に、不動産取引や各種契約の書面作成などに使われている。投稿主は、実印について、(1)面倒でも使うたびに「印鑑登録」すること(2)使い終わったらすぐに登録をやめることをすすめている。



その理由について、投稿主は「実印は裁判で高い証拠力を有するので、親族等に悪用されたためにえらいことになっている事件がたくさんある」と説明している。はたして印鑑登録は、なるべくしないほうがいいのだろうか。鈴木徳太郎弁護士に聞いた。



●実印は「同一性」の証明度が高い


「印鑑は、個人や団体を示すものとして文書に押し、特有の印影を残すことで、責任の所在を明らかにするものです。



そのうち実印は、市区町村が発行する印鑑証明書とあわせることで、印鑑の名義人と、押印された文書に責任を負うべき人(本人)の『同一性』の証明度が高くなります。



一方、認印(みとめいん)は印鑑登録がされておらず、実印ほどに『同一性』の証明度が高いとはいえません」



鈴木弁護士はこのように説明する。それぞれ、どんな場面に使われて、どういう効果があるのだろうか。



「通常、実印は複雑な彫刻がされています。印鑑に彫刻された名義人と本人の『同一性』について、慎重に確認すべきような重要な取引に用いられます。たとえば、不動産売買や住宅ローンの借入れなどの契約です。



これに対して、認印は、実印用の印鑑に比べると、簡易な彫刻になっているのが普通です。文書への目通しの確認や一般事務などに使われることが多いでしょう。



ただ、認印であっても印鑑であることに変わりはありません。認印の押印であっても、基本的に、契約は有効に成立します。



また、契約書などに押印された場合、その認印が本人の所有するものならば、実印と同様に『本人によって押印されたこと』が推定されます(民事訴訟法228条)」



●印鑑や印鑑登録カードの管理の仕方が重要


では、実印は印鑑登録しておかないほうがいいのだろうか。



「たしかに、住宅ローンの借入れなどでは、印鑑証明書の添付が必要とされることが、通常でしょう。このような取引が、他人に勝手にされないようにするためには、印鑑登録をしないほうが安全といえるかもしれません。



ただ、委任状等があれば、印鑑登録を本人以外がすることも可能です。たとえば、一緒に住んでいる家族等であれば、本人に代わって登録をすることは難しくありません。私見では、印鑑登録をしなければ、絶対に安全というわけではないと思います」



個人間での金銭の貸し借りなどでは、印鑑証明まで求められていないことが多い。



「個人間での金銭の貸し借りや、化粧品などの高額な割賦販売などの契約については、印鑑登録をしているかどうかは影響しないといえます。



したがって、重要なのは、印鑑登録をするかどうかではなく、認印を含めた印鑑や印鑑登録カードの管理の仕方ではないでしょうか」



鈴木弁護士はこのように述べていた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
鈴木 徳太郎(すずき・とくたろう)弁護士
多摩地区・府中市の弁護士。個人の案件については、相続問題の他、交通事故や倒産事件を多数取り扱う。近時は労働問題の相談も多い。会社関係の事業承継なども取り扱う。現在、第一東京弁護士会多摩支部副支部長、府中市情報公開・個人情報保護審議会委員を務める。
事務所名:鈴木徳太郎法律事務所
事務所URL:http://www.fuchu-lawoffice.jp/